元シャープ副社長の佐々木正先生が1月31日亡くなられました。
先生はシャープの電卓の開発をされており、LCDや太陽電池の開発に貢献されました。
電気学科の教授の方が太陽電池の研究をされており、教授の方とたいへん懇意にされていたようです。
そのため、大学2年生の時に、特別講義の講師で来られ、お話を聞かせていただきました。
勉強不足の私は、CPUやRAMやROMやLCDと言われてもかなりちんぷんかんぷんでしたが、
そのお話の内容のすごさが今でも記憶に残っています。
近年(といってもかなり前ですが)はボールセミコンの研究をされているとの記事を見たことがあります。
合掌
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はじめに
今回は、中小企業診断士として、京都丹後鉄道(丹鉄)の厳しい経営状況を見ていきたいと思います。
経営状況を表す財務諸表は公開されていないようですので、直接的には見れないと思います。
ただ、北近畿タンゴ鉄道(KTR)の電車運行等は、京都丹後鉄道(丹鉄)に2015年4月に引き継がれましたので、経営・財務状況はKTRの33期(2014年4月1日から2015年3月31日まで)の事業報告・財務諸表から推測することができます。
尚、KTRの財務諸表等はこちらのURLに一般開示されています。
⇒http://ktr-tetsudo.jp/corporate/accounting/index.html
基本データ
財務状況を見るその前に、丹鉄の基本データを下表等に示します。
他の第三セクターの鉄道会社などの基本データも比較のために示します。
会社名 | 運行距離 | 従業員数 | 損失額 | 備考 |
丹鉄 | 114km | 約190名 | 8.9億 | 北近畿。特に京都府丹後地方。 |
三陸鉄道 | 108km | 61名 | 2.1億 | 岩手県の三陸海岸沿線。2路線あり。 |
若桜鉄道 | 19km | 15名 | 0.5億 | 鳥取県の郡家駅から若桜駅 |
貴志川線 | 14km | - | - | 和歌山県和歌山市。たま駅長で有名に。 |
株主 京都府44.7%。京丹後市9.25%。宮津市8.91%。福知山市6.44%。他。
沿線住民 約30万人と推定される。
乗降客 約200万人/年
乗降客比率 定期利用者約50%(通学約20%、通勤約30%)観光と一般利用約50%。
※数値に関しては正確を期してはいますが、集計時期のずれや、まるめ誤差や、集計後の変化などがありますのでご注意ください。
財務情報
公開されている財務諸表等を、分かりやすいように以下の表に整理してみました。
科目(もしくは相当) | 金額 | (億円) | 備考 |
鉄道事業 | |||
旅客運輸収入 | 8.9 | ||
その他の収入 | 1.7 | 駅構内の物品販売でしょうか | |
営業収益 | 11.5 | ||
人件費 | 7.9 | ||
修繕費 | 5.8 | 電車と路線の保全などでしょうか | |
動力費・電力費 | 1.9 | 電車とディーゼル車 | |
その他経費 | 5.6 | かなり高いですね | |
営業費用 | 20.4 | ||
営業損失 | 8.9 | ||
経常損失 | 8.8 | ||
特別利益 | |||
補助金 | 13.6 | 大変な補助金の額です! | |
特別損失 | |||
固定資産圧縮損 | 4.5 | 補助金で購入した固定資産の圧縮 | |
当期純利益 | 0.3 |
財務情報から見えること
厳しい。その一言に尽きるのでは。
1万円の売り上げをあげるのに、2万円の費用を掛けているイメージです。
詳細に見てみると、
8.9億円の旅客運輸収入に対し、7.9億円の運転手等の人件費と1.9億円の動力費・電力費を掛けているので、この部分だけでも赤字になります。
さらに悪いことには、安全運行等のために線路の保守や車両の保守費が必要で、5.8億円の修繕費になっています。(この部分が特に重荷のように思われます。)
その他経費も5.6億円と大きく膨らんでいます。
上下分離方式で列車運行を手掛ける丹鉄の視点で見ると(丹鉄に関係しそうな部分のみを見ると)、
修繕費は新しKTRに分担いただけるとしても、
その他経費(内容が不明ですが)5.6億円の大幅な低減が必要で、
そのうえで旅客運輸収入を赤字にならないレベルまでアップさせる必要があります。
ただ、旅客運輸収入のアップは言葉で言うほど簡単ではないと思われます。