スミダマンのほのぼの奮戦記

~グルメ・旅・仕事・自然・地域~あらゆる出来事をフラッシュバック。

阿波人形浄瑠璃

2017-11-01 08:48:45 | 旅 ~国内

ここは1689年罪状も明らかにされないまま藩の政策上の

犠牲となって処刑された坂東十郎兵衛の屋敷跡

「傾城阿波の鳴門」のゆかりの場所だ。

徳島県立阿波十郎兵衛屋敷の入口。ここで国指定重要無形民族文化財

阿波人形浄瑠璃を毎日上演している。

http://www.joruri.info/jurobe/

入口の所に掛かっていた提灯と藍染の市松模様の暖簾。

藍染は徳島が本場。「青は藍より出てて藍より青し」という

ことわざがあるが、藍染の青い色はJAPAN BLUEとして

世界に知られるほど深く鮮やかな日本を代表する色だ。

徳島はこの藍染めの元となる藍染料「すくも」づくりの本場として

現在もその伝統が引き継がれている。

なかなか良い雰囲気の観客席と舞台だ。徳島では農村舞台や

小屋掛けによる屋外講演が多かったことからなんとなくそんな流れを感じる

劇場だ。ご当地では男女の心中事件など当時の世界を描く

「世話物」よりも、歴史的な素材を扱う「時代物」が好んで演じられた。

毎日演じる方々は当番制に成っているようだ。壁には(財)阿波人形

浄瑠璃振興の会の名が張り出されている。数えてみると16団体ある。

この日はどの会がやってくれたのか忘れてしまった。

たまたまこの日上演した演目はこのポスターと同じものだった。

もっともこれは傾城阿波の鳴門「順礼歌の母」というもので定番ものだ。

傾城阿波の鳴門「順礼歌の段」の物語の内容は、徳島藩の

お家騒動に絡んで、盗まれた主君の刀を詮議するために阿波の十郎兵衛、

お弓の夫婦は名を変え盗賊に身をやつし、大阪玉造に住んでいる。

そこへ巡礼姿の娘お鶴がはるばる阿波から父母を訪ねてくる。

我が子とわかるが、ここで名乗りをしたのでは、お鶴にどんな災いがふりかかるとも

限らない。涙をのんで別れるお弓。お鶴の歌う巡礼歌にたまらず

後を追ってしまう。抑えられない母の情けが切ないくだり。

世界に比類のない3人遣いで操られる人形。情感を込めて物語る太夫。

多彩音色で語りを支える義太夫三味線。

上演が終わり、黒子の皆さんが顔を出してごあいさつ。

皆年配者で趣味として暇をみて人形浄瑠璃の世界に興じているとか。

日本人の感性が息づく芸術に、そして地方都市の歴史文化を支えている人々を

見て思わず感動して涙ぐむ方もいた。

人形浄瑠璃が終わった後、向かい側の展示室で詳しい説明を聞いた。

阿波木偶(あわでこ)や衣装などの資料展示。阿波人形浄瑠璃の特色を生んだ

農村舞台や箱廻しの紹介など徳島の人形文化の奥行きを見ることができる。

母屋の広い和室に3体の人形(扇、千歳、三番叟)。

とても素晴らし空気が広い部屋にみちていた。

お弓・お鶴別れの銅像。近松半二ら5人の合作「傾城阿波の鳴門」の

中の涙する哀情切々たる情景。

徳島市観光スポット紹介の図。これを良く見ると阿波おどりと

この阿波人形浄瑠璃以外にこれといった観光スポットは見当たらない。

ある意味阿波おどりが開催される8月12日~8月15日以外は静かな街なのだろう。

阿波十郎兵衛屋敷の近くには日本三大暴れ川の1つとして数えられ

利根川(坂東太郎)、筑後川(筑紫次郎)と並び、四国三郎の異名を持つ

吉野川が流れている。吉野川は唯一水流が四国4県に及ぶ。

ご覧の様に最長川幅は荒川の2537mに次いで2380mと本当に広く迫力がある。