思惟石

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『中村屋のボース』 カレーの話しではないが、カレーは食べたくなる

2023-05-02 15:00:31 | 日記
『中村屋のボース
インド独立運動と近代日本のアジア主義』
中島岳志

新宿中村屋名物インドカリーの由来となった人物、
ボースの物語。

確かに中村屋ってパン屋なのにカリー屋さんだわ〜。
言われるまで気づかなかったわあ〜。

新宿中村屋や元々は本郷のパン屋さんだそうです。
東大前にあったのか。
オーナーが変わり、当時ではまだ郊外だった新宿に移転。
インドから亡命してきた革命志士のボースを
「ひょんな」ことから数ヶ月間かくまったのが縁で、
ひとり娘と結婚してインドカリーの販売に至る。

すごいドラマチックじゃないか。

と、あらすじを見て飛びついたのですが、
そういうロマンティック&ドラマティックストーリーは
本筋ではなかった。
(サブタイトルを読めばわかるけどね!)

作者は南アジアの政治文化や思想の研究者なのです。
というわけで、これはインド独立運動の本です。

ボースは独立運動の過激派として活動し、
29歳(1915年)で日本に亡命。
中村屋の婿になって幸せに暮らしましたとさ、
なわけでは全然なくて。

余談ですけど、
過激派で爆弾投げて亡命して、って
ゴールデンカムイのアチャっぽいよね。
ほんと、余談ですけど…。

えっと、ボースの話しですけど、
インド独立を日本から支えるために
様々な政治家や運動家と関わっていくものの
日本はどんどこ帝国主義に突っ走っていく時代。
その歯痒さに悶えたり、
異国の地でできることも限られている焦燥が垣間見える。

ボースや、その支援者の人々の思想的な食い違いも
なかなか切ないですね。
玄洋社の頭山満(とうやまみつる)等に対して、
作者は
「精神主義(がんばった奴は偉い!褒めちゃう!)はあるが思想はない」
とズバーっと書いています。
笑ってはいけないかもしれないけれど
やっぱり笑ってしまった。

ちなみに後半には銀座ナイルレストラン創業者の
ナイルさんも登場。
都内の有名インドカレーって、インド独立運動につながるのね。

というわけでインド独立運動について学びつつ、
やっぱりカレーが食べたくなったので
バターチキンカレーをつくりました。
コメント
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