思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『上流階級』 営業ノルマ1500万円の世界

2022-11-07 16:08:52 | 日記
『上流階級 富久丸百貨店外商部』
高殿円

高級百貨店の外商部のお話し。
って。
「外商部」!
初耳です!!
新鮮!!!

百貨店に一定以上の金額を落とす上得意の担当営業をするのが
外商部の仕事だそうです。
自宅まで注文の品のみならず、お気に召すと思われる高級品も
セレクトしてお持ちする。
月の営業ノルマ1000万円以上とか。

未知の世界すぎて、ほげー!となります。
おもしろいなあ。

物語の舞台は神戸の高級百貨店。
富久丸百貨店芦屋川店で、外商員として働く鮫島静緒(37)。

主人公の静雄は女性なのだけど、
女性の外商さんというのは珍しいらしい。
奥様のお相手が多そうだけど、男性社会なんだな。
意外。

尊敬と愛情は違う、という説には賛成しかねましたが、
どの登場人物も良い性格をしていて好感が持てます。

デパート業界事情も、静雄の出身である製菓業界事情も、
縁がないので新鮮な驚きが多くてよかった。
おもしろかった!!

シリーズ化しているらしいので、次巻も読もう。
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『マーティン・イーデン』 ひとりイライザもしくはセルフ岩窟王小説

2022-11-01 17:00:53 | 日記
『マーティン・イーデン』
ジャック・ロンドン
辻井栄滋:訳

作者ジャック・ロンドンの自伝的小説と言われているけれど、
それはさておき、すごい熱量。すごいおもしろい。

主人公マーティン・イーデンはザ・労働者階級。
ふとしたきっかけで知り合った上流階級のルースに憧れ、
そこで垣間見た上流階級の暮らしにも憧れ、
自力で勉強してがんばる、というお話し。

ヒギンズ教授無しでがんばるイライザみたいだ。
もしくはセルフ岩窟王かな。

自発的に向上心を抱いて、無茶苦茶に勉強するエネルギーが凄い。
なにしろ500ページ中の450ページくらい(適当)、
ずっと頑張って這いずり回ってもがいている笑
つらい!

イーデンったら、なかなか成功しなくて読んでるこっちも
苦しいんですが、成功した後の苦しみも、歯痒い、沁みる。
んんあ〜!!!ってなる。

若い頃に読んだら、よくわからんけど、真夜中にちょっと
10キロほど走ってくる!と言いかねない。
よくわからんけど。

前半では無学なマーティンが「成功したい」と言いますが
だんだんと「地位」「名誉」のハリボテ感を知るようにもなる。
多分、彼が求めていたのは「教養」なんだろうなあ、
というのが、めちゃくちゃ共感する。
私も欲しいよ、「教養」!
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