思惟石

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森絵都『みかづき』塾家族の大河ドラマ

2021-01-25 16:20:46 | 日記
森絵都の『みかづき』。
大島家の三世代物語です。
戦後すぐに塾教育を始めた吾郎さん千明夫婦と、
大島家の三姉妹と、現代の孫世代まで。
大河ドラマですねえ。

前半の吾郎さん中心の章は、千明夫人の激烈さが
若干、鼻について読みにくかったかなあ。
三姉妹にシフトしてからはすいすい読めました。
次女の蘭、一郎の章が特におもしろかった。

教育にまつわる世の中の変遷も追体験できて
なかなかおもしろかったです。

学校と塾の確執から始まって、
団塊世代のひとクラス60人時代から
受験戦争、ゆとり世代、内申点の主体評価等々…。

私個人の人生体験で言うと
小学校にはやたら威圧的な老先生がまだ存在していて、
いつの間にか週休二日になっていて、
ついでに中学でブルマが撲滅されてホッとした。
大学はセンター試験で、AI入試という単語の出始めで、
ついでに地元は北辰テストというご当地試験がありました。

とはいえ、学生時代も今も、教育理念とか大きな視点で
「教育」というものを考えたことがないから
ピンと来ない部分も多くあった気もします。
(好きな先生の教科をがんばる!みたいなのはあったけど)

大島家はそれぞれが濃淡あるけれど、
教育というものの在り方に真正面から向き合って
がっぷり四つに組んでいる人たちなんだなあ、と。
素直に感心してしまう。

『みかづき』は第12回中央公論文芸賞(2017)受賞作で、
同年の本屋大賞2位です。
ついでに王様のブランチ・ブックアワード2016。

地味なライフハックですが、
図書館にて、本屋大賞1位作品を予約した場合
一生借りられないだろうなと思える予約数なのですが
本屋大賞2位だと、意外とするっと借りられます。
世の中とはそういうものだな。しみじみ。
コメント
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