思惟石

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『大君の通貨 幕末「円ドル」戦争』佐藤雅美

2021-01-13 11:51:37 | 日記
佐藤雅美(まさよし)の『大君の通貨 幕末「円ドル」戦争』。
史実や史料をベースに幕末の貨幣問題が描かれています。

「歴史経済小説」と紹介されていますが、
第4回新田次郎文学賞(ノンフィクション文学
または自然界に材を取ったものが対象)を受賞している通りで
読んだ感想としても「ノンフィクション文学」に近いです。
ウォールコックやハリスの言動は小説的ではあるけれど。

1984年に講談社で初版。
新田次郎文学賞を受賞。

2000年に作者が全面改稿して、
文藝春秋から刊行しなおしたものが
『大君の通貨 幕末「円ドル」戦争』です。
私はこちらを読みました。

初版本は、だいぶ内容が難解だったらしいです。
解説の神崎倫一によると
「テーマは同じだが全く別の本と言っても良い」
とのこと。
どんな文章だったのか気になるところですが、
何はともあれ新版は
読みやすかったしわかりやすかったしおもしろかったです。

開国直後の円ドルがテーマ。
「1朱銀の銀含有量が当初の3分の1」という日本の問題と、
「重量交換」という海外一般のレートの食い違いが発端。

歴史の教科書でおなじみハリスの意外なクズっぷりも
なかなかです笑

幕府と外国との事情で勃発した小判のインフレで
最も困窮させられたのが武士階級で、
「倒幕!」「攘夷!」に繋がるというのもなるほどという話し。

最近は小説よりもこういうのがおもしろいと感じます。
しみじみ。
こういうの、もっと読みたい。
コメント
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