Sightsong

自縄自縛日記

長沢哲+かみむら泰一@東北沢OTOOTO

2019-10-29 21:49:58 | アヴァンギャルド・ジャズ

東北沢のOTOOTO(2019/10/28)。

Tetsu Nagasawa 長沢哲 (ds)
Taiichi Kamimura かみむら泰一 (ss, ts, 石、笛)

長沢哲さんの今回のツアー最終日。このふたりの共演は5年ぶりだという。

マレットで止まっては進むドラミング、間に石を吹く音。この間合いによるはじまりもいま決めたのだろう。時間は止まってまた進むが、やがてシンバルが鳴り、バスドラも追随する。そのようにして音を集める横で、かみむらさんは長い笛を吹く。

かみむらさんはソプラノに持ち替え、キーのタップをパーカッションのように扱い、音世界をシンクロさせる。そして吹く音色はアジアや中東を想像させる。長沢さんの創る残響のなかでソプラノの音は落ち着いてゆき、ここにバスドラが事件のように介入する。大きなタムをさらに事件的に連打し発展させ、かみむらさんは痙攣し、羽化し飛び立つように吹いた。

フェーズが変わる。内部で唸り反響させるテナー、ゆっくりと繰り返し事態をわからせるドラム。ふたりは収束を見据えて動いた。

セカンドセット。ガラガラキラキラとしたドラムの音に、テナーもキーのタッピングやリードを爪で弾く音でシンクロさせる。休止というものがしばしばあり、これが関係を創りだす。いつの間にか、かみむらさんは床の感覚を音に取り入れようと言わんばかりに裸足になっている。ドラムスに対して別のかたちを創出してゆく。常に眼は長沢さんの動きを見据えている(この音楽のスピードを考えれば驚くべきことだ)。

ドラムの擦り、テナーの鎖。シンバルによる仏事のような響き、笛によるやはり宗教的な感覚。かみむらさんは前に出てきて、ソプラノの音色をベンドしてよれさせた。下から響くパーカッションに対し、ソプラノはいつまでも横滑りを続ける。アフリカン・パーカッションと共演したときのミシェル・ドネダをも思わせる。長沢さんはシンバルを連打し、突然手で止めた。聴く者に大きな余韻を残した。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4、7Artisans 12mmF2.8

●長沢哲
長沢哲ソロ~齋藤徹さんに捧ぐ@本八幡cooljojo(2019年)
長沢哲+清水一登+向島ゆり子@入谷なってるハウス(2019年)
蓮見令麻+長沢哲@福岡New Combo(2019年)
長沢哲+齋藤徹@ながさき雪の浦手造りハム(2018年)
長沢哲+近藤直司+池上秀夫@OTOOTO(2018年)
齋藤徹+長沢哲+木村由@アトリエ第Q藝術(2018年)
#07 齋藤徹×長沢哲(JazzTokyo誌、2017年ベスト)
長沢哲『a fragment and beyond』(2015年)

●かみむら泰一
李世揚+瀬尾高志+かみむら泰一+田嶋真佐雄@下北沢Apollo(2019年)
かみむら泰一+永武幹子「亡き齋藤徹さんと共に」@本八幡cooljojo(2019年)
クリス・ヴィーゼンダンガー+かみむら泰一+落合康介+則武諒@中野Sweet Rain(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
かみむら泰一+齋藤徹@喫茶茶会記(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
かみむら泰一session@喫茶茶会記(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
かみむら泰一『A Girl From Mexico』(2004年)
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。