東北沢のOTOOTO(2018/10/27)。
Tetsu Nagasawa 長沢哲 (perc)
Naoji Kondo 近藤直司 (ts, bs)
Hideo Ikegami 池上秀夫 (b)
3人の名前を見ればどフリーなのか即興なのか、しかしそのような分類には意味がない。OTOOTOは満員。
ファーストセット。長沢さんはマレットで柔らかく音を出し、呼応して、他のふたりはマージナルな部分の音で手探りをするようなはじまりの印象。池上さんは指から弦に移行し、軽く擦るようにも動く。近藤さんは次第に音を得る。そしてスティックによりサウンドが前に動き出した。ピチカートとブラシとの重なりの中にテナーが入り、鳥のごときマルチフォニックを発する。
やがて短いリズムの時間があった。長沢さんは静かにリズムを変え、ふたりがコントラバスを手で、テナーをマウスピースのカバーで叩く。近藤さんはテナーで突っつくような音、それがここに来てフラジオ、フリーキー、そして痺れる咆哮へと歩を進めてゆく。パーカッションもコントラバスも咆哮にあわせてエネルギーを高めた。
静まって、複数のシンバルによる複層の響き(!)があり、弦のピチカートとさらに重なる。ふたたびマレットの柔らかい響きで演奏が終わった。
セカンドセット。一転して、3人ともノイジーに攻める。やがて呼吸が合ってきて、タイミングを同調させてのリスタートを繰り返す。円環を思わせるブラシ、音域の広いコントラバス。近藤さんはバリトンで風を起こし、池上さんもこそげるようにしてやはり風を起こす。音を精製したような美しいブラシの音。バリトンによるフレーズの繰り返しが素晴らしい。
また静かになり、ここからシンバルの響きとともにバリトンがブルージーに入ってきて太くうねる。長沢さんがブラシで走ってもバリトンは執拗にうねるうねる。そして池上さんはというと、一音一音を入念に選び、確信犯的に刻む。このあたりがもっとも動悸のする時間だった。
長沢さんは、左右のマレットで微細なずれ(!)をひき起こす。(いちいち「!」を付けるのにはわけがあるのだ。)バリトンのフラジオ、コントラバスが入っても、長沢さんは執拗に叩いた。
Fuji X-E2、7artisans 12mmF2.8、XF35mmF1.4
●長沢哲
齋藤徹+長沢哲+木村由@アトリエ第Q藝術(2018年)
#07 齋藤徹×長沢哲(JazzTokyo誌、2017年ベスト)
長沢哲『a fragment and beyond』(2015年)
●近藤直司
のなか悟空&人間国宝『@井川てしゃまんく音楽祭』(2016年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年)
●池上秀夫
種まき種まかせ 第2回ー秋の手-@Ftarri(2018年)