次にVillage Vanguardに移動したところ(2015/4/2)、22時の開場の40分前だというのに既に列が出来ていた。トム・ハレル、凄い注目ぶりである(結局この回はソールドアウトとなった)。というのも、アンブローズ・アキンムシーレとのツイントランペットという仰天する組み合わせだからに違いない。この新グループは「Something Gold, Something Blue」と名づけられている。
しかも、運よくふたりのラッパの中まで見える最前列に座ることができた。
Tom Harrell (tp, flh)
Ambrose Akinmusire (tp)
Charles Altura (g)
Ugonna Okegwo (b)
Johnathan Blake (ds)
アキンムシーレのトランペットはじつに輝かしいもので、ダイヤモンドが飛び出してくるようだった。理知的であり、ソロのイメージがこんこんと溢れ出るように見えた。音も非常に多彩であり、キレもあり、ソロの終わりは潔い。誰もがソロの間と後に感嘆の溜息をついていたに違いない。
前日にThe Stone開場を待っている間、隣にいたポーランド人の女の子と話していたところ、既に彼氏に無理やり連れていかれたとのこと。彼女は、アキンムシーレの創り出す雰囲気がとても良かったと言った。
しかし、ハレルのソロはさらに別次元だった(本当)。震える手で、こもったような音を発しており、それは病のためかどうかわからないのだが、素晴らしく人間的なものだった。まるで雲の中で、帯電したイオンの群れが次々に形を成すようだった。そして、ふわりと小節の途中から入って出ていく独特のフレージング。どれだけの人がこの凄みと底無しの深さを体感したのだろう?気のせいか、アキンムシーレがハレルのソロを聴いて涙ぐんでいるように見えた。
最後は、意表をついたスタンダード曲「There Will Never Be Another You」。
この新グループでの録音はなされるのだろうか。一刻も早く出してほしい。
●参照
トム・ハレル『Trip』
トム・ハレル『Colors of a Dream』
アンブローズ・アキンムシーレ『The Imagined Savior is Far Easier to Paint』
アンブローズ・アキンムシーレ『Prelude』
ヴィジェイ・アイヤー『In What Language?』(アキンムシーレ参加)