スティーヴ・レイシー『School Days』(EMANEM、1960/63年)を聴く。
<1963>
Steve Lacy (ss)
Ruswell Rudd (tb)
Henry Grimes (b)
Dennis Charles (ds)
<1960>
Thelonious Monk (p)
Steve Lacy (ss)
Charlie Rouse (ts)
John Ore (b)
Roy Haynes (ds)
ひょっとしたら1960年のセロニアス・モンク御大とのセッション2曲が目玉なのかもしれないが、音質は悪く(それでも、2006年のリリース時よりは改善されたらしい)、ああ共演しているという以上の面白みは特にない。
それよりも、ここでは、レイシーが亡くなるまで出し続けた「モンクへの答え」の粗削りな姿を聴くことができることこそが嬉しい。レイシーは、モンクがそうであったように、いつもレイシーであり、シンプルかつカラフルという相互に矛盾する要素を持ち続けた。しかも、演奏の喜びに満ちているように感じられてならない。
共演者も同様に愉しそうだ。遅刻してきたヘンリー・グライムスが3曲目から入ると明らかに風景が一変するし、強面のくせに、たとえば「Skippy」では、「Moose the Mooche」を引用したりしてはしゃいでいる。「Brilliant Corners」でのラズウェル・ラッドのツッコミもなかなか。
●参照
スティーヴ・レイシーのアヴィニヨン
『Point of Departure』のスティーヴ・レイシー特集(『Sands』)
『富樫雅彦 スティーヴ・レイシー 高橋悠治』
チャールス・タイラー(『One Fell Swoop』)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』
『Interpretations of Monk』
レイシーは最後まで前衛だった(『New Jazz Meeting Baden-Baden 2002』)
セシル・テイラー初期作品群
ザ・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ
ハリー・コニック・ジュニア+ブランフォード・マルサリス『Occasion』(『Sands』にインスパイアされた演奏)
Ideal Bread『Beating the Teens / Songs of Steve Lacy』
副島輝人『世界フリージャズ記』
村上春樹 編・訳『セロニアス・モンクのいた風景』(レイシーのモンク論)
中平穂積『JAZZ GIANTS 1961-2002』