デイヴィッド・バークマン『Live at Smalls』(Smalls Live、2013年)を聴く。
David Berkman (p)
Tom Harrell (tp)
Ed Howard (b)
Jonathan Blake (ds)
このピアニストの演奏をはじめて聴く。決して尖ってはいないし、破綻に向けてバウンダリーを突き破ろうとするあやうさもない。しかし、なのか、だから、なのか、素晴らしい深みを持っていて、特に、故ケニー・カークランドに捧げられた「For Kenny」では情感の熟成のようなものを見せる。そういえば、カークランドもそのようなピアニストだったと言えるのかな。(旧ブルーノートでケニー・ギャレットのライヴを観に行ったとき、サックスを持っていたところ、おおサクソフォンと気さくに声をかけてきたことを覚えている。)
しかしそれよりも存在感を強烈に示すのは、トム・ハレルのトランペットである。ファジーな音とフレージングであり、まるで分厚い雲に包まれているような印象を覚える。コアが見え隠れして、目を凝らすと(耳を澄ますと?)、それは震えて身をかわしてしまう。
こんなライヴを「Smalls」のような親密な空間で観ることができたらどんなにいいか。
●参照
トム・ハレル@Village Vanguard
トム・ハレル『Trip』
トム・ハレル『Colors of a Dream』