石川文洋『フォト・ストーリー 沖縄の70年』(岩波新書、2015年)を読む。
石川さんは、故郷・沖縄の記憶、沖縄戦でも「南方」でも軍の存在と皇民化教育のために起きた「集団自決」のこと、加害側に強制的に加担させられたベトナム戦争のこと、軍や基地があるために危険が増していること、そのときに犠牲になるのは民衆であること、そして平和への想いを、次々に語っていく。誇張や欺瞞がまったくない、いつもの飾らない語り口だ。
本書のオビにはこうある。「琉球人・沖縄人の先祖たち、今生きる人々の怒りと共鳴しながら、私はこの本を、「在日沖縄人」として書き綴った。」
「在日沖縄人」とは、まさに沖縄の彫刻家・金城実さんが自称していた呼び方だ。石川さんがその金城さんと同席したシンポジウム(2010年)では、温厚で飾らない人柄にみえる石川さんも、「何かあれば喧嘩も辞さない」とまで発言しておられた。事態はさらに悪化している。
●参照
石川文洋写真展『戦争と平和・ベトナムの50年』
石川文洋講演会「私の見た、沖縄・米軍基地そしてベトナム」
石川文洋『ベトナム 戦争と平和』
金城実+鎌田慧+辛淑玉+石川文洋「差別の構造―沖縄という現場」
石川文洋の徒歩日本縦断記2冊
大宮浩一『石川文洋を旅する』
石川文一の運玉義留(ウンタマギルウ)