Sightsong

自縄自縛日記

ナショナル・アカデミー美術館の「\'self\」展

2015-04-03 14:56:29 | アート・映画

グッゲンハイム美術館で河原温の回顧展を観ようと思ったら休館日。となりのナショナル・アカデミー美術館を覗いてみたところ、存外に興味深い展示だった。

「\'self\」展の副題は「Portraits of Artists in Their Absence」。アーティストがどのように自画像を描いてきたかという企画展である。

主に19世紀の肖像画家たちは、伝統的な肖像画の範囲内で、視てほしい自らの姿を描いた。ダニエル・ハンチントンという画家は、尊敬するティツィアーノの作品の印刷を手に持った姿で、自分を表現している。ささやかな自己主張だ。

ところが、20世紀以降の自画像なるものの変質ぶりが凄まじい。抽象化・キャラ化だけではない。あのアイ・ウェイウェイは中国当局に逮捕されたときの写真をスマホで撮り作品化しており、活動自体を自画像に取り込んでいる。戦略とも言えるのかもしれない。


アイ・ウェイウェイ「Illumination」

出自のアイデンティティを強烈に押し出す作品もある。Toyin Odutolaというナイジェリア出身の画家は、自画像ばかりを黒いペンで描いており、現在NYのハーレムで活動をしているようだ。また、エルサレム生まれのパレスチナ人Samia Halabyは、自身の顔をオリーブの木と一体化させており、平和への希求を強く感じさせるものになっている。


Toyin Odutola「Hold It in Your Mouth a Little Longer」


Samia Halaby「I Found Myself Growing Inside an Ancient Olive Tree in Galilee」


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