10月8日
香港編、最後になります。
前回もお話した、夜景のきれいな丘に登ったときのこと。
山の上に、道路を作ったり、高層の建物を建てたりしているため、残った部分は、山の土が流れないように、コンクリートで土留めがしてある。
というか、木の根の周りだけ残して、あとは、山全体をコンクリートでおおっている。
ここは、亜熱帯気候の土地柄である。
この気候に生きる樹木は、旺盛な生命力を持っているため、コンクリートから、根がはみだして、逆にコンクリートをおおってしまうかたちとなっている。
香港を歩く間、土を見かけなかった気がする。
ぎりぎりまで、コンクリートで土をおおっているのは、自然災害から、生活環境を守るために必要なことだったのであろう。
熱帯地方の木の生命力は特別に旺盛なので、この地方特有の厚くて濃い葉っぱにおおわれたどっしりした木が、したたかに根っこをはって、コンクリートや岩をおおっている姿は、わたしのほうが、昔からここにいるのだから、と主張しているようで、壮観であった。
ハノイから、同じような木にな慣れたわたしが、香港で特に、ひかれた木がある。
公園を散歩した時、その木に名前がぶら下がっていた。
ホーステールツリーとある。
細長い、針のような葉っぱから高い空が透かして見える。
わたしが、松の木の親戚かしら、松ぼっくりのようなものが着いている、というと、オットは、葉っぱの感じが違うので、親戚でないだろうという。
わたしの好みは、全体的に、すっきり、ふわふわ、シンプルであること。
このところ、熱帯環境に生活しているため、なかなか、これ好きっていうものがなく、今回この木に会い、なんだか嬉しくなりました。