1月19日
ホーチミンでサイゴン河畔を散歩中、子供たちが網を持ち、腰まで濡らして川べりをあるいているのを見かけた。
日曜だから遊んでいるのだろうと思っていたけど、大人がビニール袋に赤い魚を持って歩いている。
アッツそうだ今日はタオの日ではないかと思いあたった。
旧正月前の儀式で「かまどの神様の日」といわれている。
この日に鯉に願いをかけて河に流すと鯉が天にそれを届けてくれて願いがかなうそうである。
去年見た、ハノイでこの日池や川に放つ鯉は、小さくて黒っぽいものだったような気がする。
ホーチミンのはおおきな赤い金魚に見えたので勘違いしていまうほど派手な鯉であった。
大人は無造作に河に投げ捨てるのだが、鯉は弱っているので水の中でボーっとしているところを、子供たちが網ですくうのだ。
それをまた、大人に売って小遣い稼ぎをしているようだ。
まさに河に投げようとする寸前に横からさらい、逃げてゆく子供もいる。
ベトナムのおばさんはそんなことでめげたりしないで、走っておいかけてゆき、とり返すが、子供たちの持っているほかの鯉は、5000ドン(35円位)とかいう声が聞こえたが、買い取って、それも河に流してやっていた。
こんな光景はハノイではみたことがない。
資本主義が優先している都市なので、子供たちもすばしっこくてテャッカリしているのだろうか。
ハノイの空港からの帰りは、レッドリバーにかかっているタンロン大橋という、大きな橋を渡るのだが、橋げたに止まっていたバイクがUターンをはじめ、危ないねとはなしていると、運転手が魚を放していると教えてくれた。
ああ、こんなところでもタオの儀式をやるんだ、と思ったけど、高所恐怖症のオットは、こんな高いところから投げられた鯉は気を失って、願いを忘れてしまうのでないかと心配していた。
古い風習も生活にあわせて変化していっているということなのだろうか。