5月31日くもり
5月15日早朝の浦安市街地、駅近の高層ホテルからぎっしり並んだマンション群がみえる。
私達の新居となる社宅のある建物は、ずーっと海側、市街地の一番奥に建つ。
社宅のベランダの窓からは、東京湾とその上に広がる空、そして向こうの陸地はおそらく千葉のプラント群、東京湾アクアラインの建物も海に浮かんでいるのがみえる。
ホテルに荷物を預け、以前住んでいた土地なので土地勘はあり、さっそく社宅を探して街を歩いてみる。
震災の被災地で深刻な問題を抱えている浦安市は、2ヶ月たったこの日もまだ道路は波打ち、家や電信柱が傾いているのがみられる。
歩道に水道管が垂直に盛り上がり、どうなったらこうなるんだろうと不思議な光景であった。
Uチューブで流されていたというコンビニは、営業していない、駐車場は波打っていて、液状化で染み出した砂で埋もれている。
雨が降ると傾いた歩道の低いところに水が集り、水溜りだらけになるが、これになれている住人は長靴で歩いている。
こんなことを書くと、大変なところに住んでいるのね、といわれそうだが、被災した方には申し訳ないが、実際の生活は支障がなく、水もガスも電気も通常、お店も普通に営業している。
なので、わたしはなんの心配もなく、自分の生活の設営に走り回っている。
日本に帰るにあたり、生活をどうしようと話し合った結果、結婚していない子供たちの近くでくらそう、福岡の家はとりあえずそのままにしておこうということになった。
ということは、福岡からは何も持ってこない、家電がない、家具がないのないないづくし。
ハノイからの荷物はたいして生活の足しになるようなものはなく、さあ何から用意しようと思っている矢先、友達に電気屋さんの知り合いを紹介するからと連れていかれ、家電製品を買いに行く。
テレビは大きいのに限ると友達とお店の人のお勧めで、51インチを買ったが、なにもない部屋では大きい画面で見やすいがこの先、もしかして邪魔になるかも…という心配もある。
次に無印良品に行き、布団のセットを2組、その他の小物を買う。
コップが2個、お皿が2枚、マグが2個では到底間に合わず、少しづつ買い貯めていまではそんなに不自由はしなくなったが、スープはマグを使うので、お茶と同時に使うことはできない。
テレビを床の上に座って見るのは痛いからとお座布団を買ってみたけど、状況に変化は無く、椅子がほしいと友達に愚痴ると、これを運んでいこうといってくれ、その後は快適に過ごすことができている。
なんで欲しいものをかわないかというと、近じか自分の持ち家のマンションをリフォームして住むつもりで、家具はそれにあわせて調えたいのでなんでもいいというわけにはいかないのだ。
そうはいいながら、6月になると食卓テーブルとベッドが届き、すこしは家らしくなってくると思う。
まだまだ快適な生活には程遠く、しかも買い物、掃除、洗濯と家事をこなす毎日で、あのハノイの生活は夢のようだったと…、時々思い出している。