鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

斎藤真一さんの『明治吉原細見記』について その4

2009-07-12 06:26:31 | Weblog
『明治吉原細見記』のP18~19に斎藤さんが描いた明治27年(1894年)当時の吉原遊廓の明細図が載っていますが、この絵図で、大門を入った仲之町の左側の家並みの中に、伏見町の通りに入る角から3軒目に「伊勢久」という引出茶屋があるのがわかります。「引手茶屋」というのは、遊廓で客を妓楼に案内するのを業とする茶屋。大門から入った遊客は、いったん引手茶屋に入り、そこで吉原芸者などと三味線や踊り、また酒食を楽しんだ後、頃合いを見て茶屋から案内された妓楼に繰り込んでいったのです。大門から仲之町に入ったところには、そのような引手茶屋が軒を並べていたのですが、その一軒が「伊勢久」というお店でした。この「伊勢久」については斎藤さんの『明治吉原細見記』には何の記述もありませんが、和田芳恵さんの『一葉の日記』には注目すべき記述がありました。 . . . 本文を読む