うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

きたきた捕物帖

2020年10月03日 | 宮部みゆき
2020年5月発行

 江戸深川で、下っ端の岡っ引きの見習いだった北一だが、千吉親分の急逝により、岡っ引き見習いを廃業し、千吉親分の本業だった文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立てているのだが、何故か事件に巻き込まれてしまう、痛快時代ミステリー。

第一話 ふぐと福笑い

第二話 双六神隠し

第三話 だんまり用心棒

第四話 冥土の花嫁 計4本の中編連作

第一話 ふぐと福笑い
 富勘が持ち込んだ、ある商家の「呪いの福笑い」の一件は、出して遊べば必ず祟る。その祟りを治めるためには、誰かがこの福笑いで遊んで、一発で正しい場所に目鼻口を置かねばならないというのだ。


第二話 双六神隠し
 手習所に通う仲良しの3人の男の子が、奇妙な双六を拾って遊んだ後、神隠しに遭う。その神隠しの真相とは。


第三話 だんまり用心棒
 北一は、地主の屋敷の床下で発見された、白骨の掘り出し作業を頼まれた。次第にその発行へと同情を寄せた北一。遺族探しをする折に、湯屋の釜焚きをしている喜多次という不思議な若者と知り合う。

第四話 冥土の花嫁
 目出度い祝言の日際、前世では、新郎の前妻だったと言う自称生まれ変わりの娘が現れ、大混乱。果ては、殺人事件にまで発展する。

 北一が暮らす富勘長屋は「桜ほうさら」で、主人公の笙之介が住んでいた長屋であり、富勘を始め、長屋の住人たちが登場。「初ものがたり」と登場人物が重なり、「謎の稲荷寿司屋」の正体が本書にて解き明かされる。

 文句なしに面白い。その筆の達者さとストーリに、スルスルと読み進み、気が付けば、次回作が待たれるほどに。
 登場人物の個性も際立つ。
 
主要登場人物
 北一...亡くなった岡っ引き・千吉親分の本業だった文庫売り
 喜多次...長命湯の釜焚き
 松葉...千吉親分の女房
 青海新兵衛...椿山家別邸、通称「欅屋敷」の用人 
 勘右衛門...深川一帯の貸家や長屋の差配人で通称「富勘」
 千吉...岡っ引き。河豚中毒で亡くなる。北一の親分
 沢井蓮太郎...本所深川方上町周り同心
 沢井蓮十郎...蓮太郎の父。千吉に十手を預けた元同心
 万作...千吉の一の子分で本業の「文庫屋」を継ぐ
 おたま...万作の女房
 おみつ... 松葉付きの女中
 瀬戸殿...椿山家別邸の女中頭
 太一...父・寅蔵の仕事である魚の棒手振りを手伝う
 お秀...仕立ての内職をしながら、娘のおかよを育てている
 おしか...青物売りをしている鹿蔵の妻。漬物をつくって売る
 辰吉...天道干し。母・おたつと二人暮らし



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。