うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

こいしり

2012年06月01日 | 畠中恵
 2009年3月発行

 お気楽な、名主の跡取り麻之助と、同じく清十郎。そして八丁堀見習同心の吉五郎。3人の悪友たちが繰り広げる人情物語「まんまこと」シリーズ第2弾。

こいしり
みけとらふに
百物語の後
清十郎の問い
今日の先
せなかあわせ 計6編の短編集

こいしり
 麻之助と寿ずの婚礼の日、八木源兵衛が卒中を起こし倒れてしまう。源兵衛は清十郎に、以前訳ありだった二人のおなごが健勝か確かめて欲しいと告げる。

みけとらふに
 麻之助の元に吉五郎の姪のおこ乃が、子猫3匹を連れてやって来た。巷では化け猫の噂が持ち切りで、家においておくと処分されてしまうのだと言う。

百物語の後
 吉五郎は麻之助に五両、清十郎に二朱を携えていた。先日加賀屋が百物語に行き、そこで盗られた紙入れを探し出した礼だと言うが、二人に心当たりはない。

清十郎の問い
 父の留守を預かる麻之助の元へ、お守りをなくして困っているお寿ずの姉の嫁ぎ先の女中。同じくお由有の父親の店の奉公人が現れた。落とし物として出て来たお守りはひとつ。

今日の先
 麻之助は、余命1年を宣告され、死ぬ前に遊び倒したい男の指南をする運びとなった。当日、金子を使いすぎないように監視する姪が、何者かにさらわれた。

せなかあわせ
 お由有の元に届けられた懸想文の差出人が、回り回って麻之助の元に届いた。麻之助は、差出人の名前も相手の名前も分からない懸想文を書いた本人を見つけ出そうとする。

 「まんまこと」は、明るく楽しい痛快さが光ったが、今回は切なさが加味され、さらに奥深くなった。
 収録作品中、「百物語の後」は夢か現か釈然としない、不思議な世界へと足を踏み入れた話になっている。
 ほか、全編を通し、面白おかしさの陰で抱く心の揺れがせつなく進行する。

主要登場人物
 高橋麻之助...神田の古町名主宗右衛門の総領息子
 八木清十郎...隣町の町名主源兵衛の総領息子
 相馬吉五郎...北町奉行所見習同心
 宗右衛門...神田の古名主、麻之助の父親
 おさん...麻之助の母親
 野崎寿ず...麻之助の妻、吉五郎の遠縁
 源兵衛...神田の町名主、清十郎の父親
 お由有...清十郎の義母
 幸太...清十郎の弟
 おこ乃...吉五郎の姪
 貞吉(両国の貞)...両国の顔役、物売り
 丸三...金貸し
 みけ、とら、ふに...猫

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