うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

なぞとき

2024年09月21日 | 畠中恵
2024年7月発行

大妖である皮衣を祖母に持つ事から、妖や付喪神が見えるが、滅法身体の弱い若旦那と、若旦那命の妖たちが織りなすファンタジー小説第23弾。

なぞとき
かたごころ
こいぬくる
長崎屋の怪談
あすへゆく 計5編の短編連作

なぞとき
 廻船問屋・長崎屋の手代でもあり、妖の犬神こと佐助が、熊の爪痕の様な傷を、頭や顔に何カ所もこしらえていた。本人曰く、「小鬼にやられた」そうだが、到底納得のいかない妖たちは、傷の「なぞとき」の賭けを行うのだった。

かたごころ
 三味線の弟子・料理屋小島屋のお照の縁談が破談になった。と、耳にした、猫又のおしろ。良縁だと思われたのだが、急に破談と聞き、穏やかでない。
 理由を聞き出そうと、美春屋栄吉の新作・辛あられの試食会に託けようと、試みるが、それが、あれよあれよの人だかりとな理、あらぬ方向に。

こいぬくる
 鍵が大好きな黒い仔犬。白黒連れ立っていたのだが、逃げ遅れたのか、黒だけが、長崎屋に残ってしまった。
 執拗な鍵好きに、もしや、仔犬を仕込んで、鍵を盗ませる瓊すっ人なのでは? そんなぎもん持ちながらも、飼い主探しをする一太郎たち。
 果たして、飼い主は? 知らず知らずに、手引きをさせられている仔犬は?

長崎屋の怪談
 眠っていた一太郎の枕元に、見知らぬ女が現れた。妖なのか、幽霊か? 一太郎のことも周知らしい。何れにしても、佐助の張った結界を破ったとは考え難い。そこで、一太郎は、夢の中を自在に動ける場久に、話を聞くことに。そして、その晩も枕元に、女の姿があった。

あすへゆく
 長崎屋の番頭二人と手代ひとりが、揃って辞めることになった。それぞれに、先行機の思惑があってのことなのだが、いざ辞めるとなると、何やら雲行きが怪しくなり、思うように事が運ばなくなってきた。そこで相談に乗った一太郎は、解決策をひねり出す。

主要登場人物
 長崎屋一太郎...日本橋通町廻船問屋・薬種問屋長崎屋の若旦那
 仁吉(白沢)...妖、薬種問屋長崎屋の手代
 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代
 長崎屋藤兵衛...一太郎の父親、長崎屋の主
 おくま...長崎屋の女中頭
 屏風のぞき…付喪神、長崎屋奉公人・風野
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神
 金次...貧乏神、長崎屋奉公人・金次

 おしろ...猫又
 本島亭場久...貘の妖、噺家
 火幻…妖の僧・医師。別名・火前坊
 以津真天…怪鳥。西国の妖
 美春屋栄吉...日本橋菓子屋の嫡男、一太郎の幼馴染み
 寛朝...上野広徳寺の高僧
 秋英...上野広徳寺の僧侶、高僧・寛朝の弟子


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