明るく正しく強いブログ

朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

「懐かしラーメン」の最高峰 新宿『若月』

2017年09月24日 | ラーメン、つけ麺など
もはや、行きつくところまで行ってしまった感のある、近年のラーメン事情。
ぜいたくな食材を使用するようになり、味はどんどん濃くなり、値段も高くなってきている。
やれ「濃厚魚介豚骨鶏白湯トリプルスープ」だの、「厳選小麦真空平手打ち極太麺」だの、
商品の説明が妙に長ったらしい店が多い。麻雀で言えば、「リーチ一発純チャン三色イーペーコー」みたいな。
最近はトシのせいか、そういうラーメンを食べるのが、疲れるようになってきちゃった。

そのような、現在の主流である豪華絢爛なラーメンとは対照的な、昔懐かしい昭和チックな醤油ラーメンを、
「ノスタルジックラーメン」などと称し、愛好している者も少なくない。
見た目や味付けが派手でなく、食べていて疲れるどころか、なんだかホッとするし、飲んだあとのシメにも最適。
そのような昔懐かしいラーメンを出すお店の中で、私が一番気に入っているのが、
新宿の思い出横丁(別名:ションベン横丁)内にある『若月』さん。
いきなりだけど、ここのラーメンの写真をお見せしよう。


どうよ、このシンプルかつ美味しそうなビジュアル!
順番がおかしいけど、こちらが店頭の様子。


赤いのれんと提灯が目に鮮やかで、ラーメンと同様、グッとくる外観だよね。店内はカウンター席のみ。
のれんにも書いてあるように、「自家製麺」の「らーめん」と「焼そば」がこちらの二大名物。
マジメで寡黙なご夫婦が、朝早くから麺を打ち、昼間から深夜まで、大勢のお客さんをさばいている。

下記写真が主なメニュー。この他にライス、お新香、ドリンク類などがある。


基本のラーメンは480円で、他はだいたい580円。最高値のチャーシューメンでも700円。
新宿の一等地でこの値段は安すぎるでしょ
ラーメンは、私が初めて食べた20年前から、80円しか値上げしていない。ご夫婦の企業努力には頭が下がる。
先代の跡を継いだ平成12年から、わずか8年間で220円も値上げし(この間、消費税は5%のまま)、
その後もさらに30円上げて現在に至る、『蒙古タンメン中本』も少しは見習ってほしいね

私はだいたい、他の店で散々飲んでからここに来るので、ラーメンだけ食べて帰るケースが多いが、
もちろん若月さんで飲むこともある。先日注文したのは、びんビール大580円に、「餃子」と「焼そば並」。
まずは、店頭の鉄板で焼いていて、その匂いが客寄せにもなっている、焼そばが登場。


サイズは並400円と大480円があるが、量的には並が小で大が並、という印象。
キャベツ、もやし、青海苔と紅生姜だけのシンプルなタイプ。
味付けは薄口なので、「お好みでソースをかけて」という店主の教えに従い、
卓上のウスターソースを垂らすと、ビールのいいツマミになる。
しばらくすると、餃子も焼きあがった。一人前6個で380円。


自家製(?)ラー油に醤油を混ぜたタレを、ちょっとだけ付けて食べる。中身はこんな感じ。


野菜多めで、ほんのりニンニクが効いた、頼りになるヤツ=酒がススム餃子だ。
以前、気分が良くなりビールをお替りしてしまい、うっかり終電に乗り遅れたこともあった(←マヌケ)。

最後に、お店自慢の商品であり、私も一番好きな「手打ちしょうゆラーメン」の写真を再掲載。


小ぶりなチャーシュー、小さい海苔、ほど良い塩分のメンマ、自家製の中太麺、そしてネギが浮いた醤油スープ。
一見、あっさりタイプだと思うだろうが、意外とスープのダシがしっかり出ており、全然物足りなくない。
さっきの麻雀の例えでいえば、「ピンフドラドラ」みたいな、シンプルだけどうれしい和了役だ。

また、下記写真で見ての通り、自家製の麺はやや不揃いなのだが、


おかげで、すするたびに異なる食感を楽しめるし、スープの持ち上げもいいので、個人的にはお気に入り。
毎回、あっという間に麺がなくなり、汁まで残さず飲み干してしまっている。
480円で味わえる、至福のひとときだ。
写真はないけど、酸味の効いたタレで食す「つけ麺」や、野菜タンメン風の「塩ラーメン」もおススメだよ。

そんな若月さんは、今年の6月に訪問した際、写真のように「しばらく休業」の貼紙があった。


貼紙に対して書かれた、「がんばれ」「復活希望」「待ってます」というたくさんのメッセージが、
この店のファンの多さを証明している。私も何か書けばよかった。
数日後、再び思い出横丁に足を運び、お店が開いているのを確認したときは、ものすごくうれしかった。
あまりのうれしさに、「再開してくれてよかったです!」と、ご夫婦に話しかけてしまった。
これまで何十回と来ていたが、注文と会計以外の会話は、この日が初めてだった。

「心配かけてすみませんねえ」と奥様が返答してくれ、直後にご主人が「ちょっとヤケドしちゃってね」と、
腕に巻かれた包帯を見せてくれた。かなりの大ケガだったらしい。
無論、完治はしていなかったが、お客様のために早く再開したかったとのこと。これぞプロだ。
その後も、いろいろとお話しさせていただき、ご主人は若月の二代目店主で、
先代が開業したのは昭和23年(1948年)だと教えてもらった。なんと、来年で70周年ではないか。
安くて美味しいラーメンや焼きそばを、70年もの間提供し続けてきた、若月の皆さんに、ただただ感謝。
長年営業をしていれば、今回のヤケドだけでなく、大変だったことはたくさんあったと思うが、
「いろいろあったけど、みーんな忘れちゃったわよ。ねえ」と、奥さんはご主人に賛同を求めたが、
ご主人は返事をせず、「今が良ければいいじゃないか」と言わんばかりに、笑顔を見せるのみであった。
真摯に生きてきたご夫婦の姿に、スープをすすりながら、ジーンときてしまった。
おふたりの愛情がこもったラーメンを、今後も食べ続けるぞ。


若月 
東京都新宿区西新宿1-2-7 新宿西口思い出横丁内
JR新宿駅、私鉄・地下鉄新宿駅から徒歩約3分 西武新宿駅から徒歩約2分
営業時間 11時~翌1時(0時半LO)
定休日 日曜
※残念ながら、2018年1月をもちまして、閉店なさったようです
コメント
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