しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

小説・言の葉の庭 新海誠著 角川文庫kindle版

2017-05-05 | 日本小説

正月に「君の名は」を見て新海誠作品が気になり「言の葉の庭」(映画)をTSUTAYAでレンタルして1月末に見ました。

映画は「言の葉の庭」というタイトルではありますが言葉=セリフというよりは絵画的なイメージで観せる作品で場面場面の美しい映像が印象に残っりました。


作中の折々に万葉集の短歌が引用されています。
短歌は「言葉」でイメージを写し取ろうという試みなのかもしれません、そういう意味ではタイトルの「言の葉」は適当なのかもしれませんね。

あとル=グウィンの「言の葉の樹」との関係が気になりましたが…。
こちらはネットでいろいろ検索しても関係が出てこなかったので無関係かもしれません。
新海監督はSF好きのようですからなにかしら関係があってもですが…
(「言の葉の樹」は入手済なのでそのうち読んでみたいところです。)
余談ついでですが映画「言の葉の庭」に出てきた本をまとめたサイトがありました。
ウィリスの「航路」が出ていたようです。
それが縁で新海監督がハヤカワ文庫の「航路」の帯に推薦文を書いたようです。
私は映画を見てわかった本は「額田女王」だけでした、見る人は見てるんですねぇ。

映画の方の感想ですが雪野先生・・・魅力的でした。
この作品の最大の見どころの孝雄が雪野先生の足のサイズをはかる場面、最高にエロティックでした。
あんな先生が高校にいたら確かにもめそうですね。
高校生なんて男子も女子も最高に妄想混じりで色気づく時期ですからねぇ。

一番印象に残ったセリフが雪野先生をいじめていた相沢祥子が「雪野先生」に「淫乱ばばぁ」と言い放った場面。
高校生から見るといろんな妄想が沸き立つ美貌の女教師だったんでしょうね。

文学好きの美人国語教師、私みたいな本好きの人間には永遠の妄想の対象かもしれない…。

孝雄君と雪野先生は最終的にどうなったのか?非常に気になるラストでした。

さて小説の方、「ダールグレン」の後ということで軽いものをということで映画を見てしばらくしてから読み始めました。
字の本、とくにSFはできるだけ紙で入手するようにしているのですが、この手の比較的軽いもの(失礼)とマンガは家の本棚のスペースの都合もありKindle版で出ているものはkindleで入手するようにしています。

脱線ですが、昨年秋にKindle Paper whiteマンガ用(メモリーが多い!)を購入しました。
前からかなり気になっていたのですがAmazonでタイムセールをやっていたのを機についにポチッとしてしまいました。
結果近年私が入手した「もの」の中ではかなりの当たりとなりました。

マンガの細かい字などは読みにくいといえば読みにくいのですが電池もちの良さと携帯性の良さ素晴らしいです。
別にKindleでなく他でも電子書籍で入手できるのかとも思いますが手塚治虫作品を安く買えるのもいいところです。
あとKindleショップの日替わりセールと月替わりセールにはまってしまいついつい買ってしまいます。
最近だと日替わりセールで「回想のシャーロック・ホームズ」やら「マイナス・ゼロ」などついつい買ってしまいました…。(いつ読むのやら)
5月は月替わりセールで「青春を山に賭けて」が199円で出ていて悩んでいます…。
不朽の名作ですが紙で持ってるし、何度も読んでいるし…。

さて本題の小説の方

内容紹介(amazonより)
靴職人を目指す高校生・秋月孝雄は、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園で靴のスケッチを描く。ある日、孝雄は、その公園の東屋で謎めいた年上の女性・雪野と出会った。やがてふたりは、約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるように。居場所を見失ってしまったという雪野に、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願う孝雄。揺れ動きながらも近づいてゆく二人の心をよそに、梅雨は明けようとしていた―。圧倒的な支持を受けた劇場アニメーション『言の葉の庭』を新海誠監督が自ら小説化。アニメでは描かれなかった人物やドラマを織り込んだ、新たなる作品世界


小説「言の葉の庭」ですが映画で描かれていない場面も多く書かれていたり、映画では殆どでてこなかった人物にスポットライトを浴びせたりと映画を補完するような形になっています。
「映画」で描かれなかった事物をどのように憶測するのか(妄想するのか)解釈するのかはあくまで映画を観た人の自由かと思いますが、「小説」としては映画製作者の書いたものでもあり一つの真実だととらえるべきなんでしょうね。
その辺が映画と小説の難しい関係性です。

本作については「映画」と「小説」作品として「どちらが上か?」といわれればまぁ映画の方が上だと思いました。
フィクションは鑑賞する人にいかにいろいろな解釈や思いを浮かばせるかが価値の一つかと思うのでその面では映画の方が上かと。

ただ映画の方を観た私が、映画の裏ではこんな風になっていたんだというのを覗けて楽しくはありましたので本書の楽しみ方の本質はそこにあるのかもしれません。

特に映画ではちょっとしか出てこなかった雪野先生の元恋人の伊藤先生、前出の女生徒相沢祥子の話は興味深かったです。
この二人でそれぞれでストーリー作っても面白かったかもです...。

雪野先生の中高時代の話や孝雄のお兄さん、お母さんの話は「まぁこんな背景なんだろうなぁ」と妙に納得いってしまう感じでした。
その辺のメジャーな登場人物の話では雪野先生がもう少しで見知らぬ男とホテルに入りそうになったのが一番ドキドキしたかなぁ…。

映画でドキドキした「淫乱ばばぁ」も小説では雪野先生の人となりがいろいろ語られているのでミステリアス感も薄く妄想の余地が少なくドキドキしませんでした。(^^)
その辺が違いかと。

映画に出てこない興味深い人物と各章に添えられた万葉集の歌など味わい深いですが、全体的には「映画」があって成り立っているストーリーで単独の文学作品としては弱いかなぁと感じました。

なお「君の名は。」に美人古典教師ユキちゃん先生として少し出ているのは有名ですが、相沢祥子のちょっといけていない中学生時代の友人が「君の名は。」で三葉の友人テッシーとサヤちんになっていたりもします。

と、きびしい評価を書いたようですが...「映画」を見た人はけっこう楽しめる作品だと思います。

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