児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

ポール・メイエと吉野直子さんの音楽

2011年10月21日 | 各地にて
先週16日に、フランスのクラリネットの名手ポール・メイエとハープの吉野直子さんのコンサートが尾道市の瀬戸田ベルカントホールであって、一年ぶりにゆったりとした時間が過ごせた。メイエとはカルミナカルテットと1997年だったかに一緒の旅をして以来の仕事でのつきあい。カルミナカルテットの強い推薦で実現したのだけれど、今回久しぶりに聞いて「やっぱりすごい!」と舌を巻いた。二人とも初めての共演で、あそこまでの音楽を作ってしまうのだから確かにすごいのだけれど、ハープの音色.音量に合わせて吹き出すメイエの音の柔らかさがとっても印象的。高い方がきつくならず、低い方も全くがさつにならずにあそこまでピアニッシモを出すところをみてしまうと、恐れ入るしかないかもしれない。
とくに、サンサーンスのクラリネットソナタをハープとやるというこのアイデアはどちらのものかわからないけれど本当にすばらしかった。ハープとの方があうかもしれない、と思わせる位の演奏。誰か他のところでもやってみないかな・・・。(写真はリハーサル)

邦楽活性化事業(埼玉)

2011年10月21日 | 各地にて
埼玉県と地域創造がおこなっている邦楽活性化事業(フォーラム方式である)が火曜から今日まで「手法開発研修会」というかたちで行われた。
今日は仕上げで、浦和の小学校で、今回選抜された3組のグループがアウトリーチを行った。それぞれが個性的なプランで組み立ててきて、子供たちの反応もよく、集中力を持って聞いてもらえたのでよかったとおもう。ほっとした。気持ちのよい和室もあり、一組だけそこでやらせていただいた。

一組目の吉川由里子さんのチームはこのあと入間市でアウトリーチとワークショップを行う。その他藤井さんチームは富士見市で、鈴木さんチームは川口市で市町村のプログラムを行い、来年2月5日にまた全員が集まってガラコンサートを行うというスケジュールだから、夏の全体研修会から数えても半年以上の事業ということになる。でもこの時間というのは非常に重要で、文化や芸術の特質でもある。一緒にいる時間があって初めて文化的な動きが出てくるわけだ。文化というのが、複数の人間が一定の頻度で生活の中で行ってきたこと、と考えると、人と人とが時間をかけることで自然にできあがってくるルールだったり、感情だったり、またそれによってできてくるものだったりが、型式として意識されて初めて文化になると考えてもよい。それは当たり前のことだ。
今日のアウトリーチでは、吉川チームの親しみやすさと笑顔、藤井チームの芸と人との関わり合い、鈴木チームの芸術作品の深みと人間的な個性・・・とそれぞれのおもしろみが巧まずして出ていた。人選の妙というよりも偶然的ではあるのだけれど、天の配剤とでもいうべきか、帰りの電車の中でコーディネーターと盛り上がってしまった。

こういう機会を継続的に(しぶとく)作っていけると邦楽界も変わってくるのではないか・・・という期待も含めて今年3年目の事業の成功を期待する。
(写真は藤井さんのグループの様子)