拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

ダウンロードに対抗するために

2007-07-29 07:39:09 | 音楽
ここ1~2年で、CDだけの通常版と、CDにDVDが付いてる通常版より高価な豪華版をリリースするアーティストがかなり増えている。DVDには殆どの場合PVが収録されている。で、3000円のアルバムにDVDつけて4000円ぐらいで売ったり。驚いたのは、1000円のシングルCDにDVD付けて2000円近い値段で売るというパターン。なんてバカバカしい。しかもそのようなDVDつきの高価なバージョンの方が通常より売れるのだ。考えられない。2000円もあったら余裕で輸入盤のアルバム買えるし…。エンターテイメントの方向性とか享受のされ方が今と昔、いや昔というか1~2年前とかなり変わったみたいだ。 まあ、この先音楽はCDではなくダウンロードして買うものという考えがどんどん広まっていきそうだし、DVDという、ダウンロードには無い付加価値を付けてCDを買わせるという考えになるのも当然だけど。
私の好きなラルクも過去にそういったDVDつきのCDを二枚出している。そのうちの一枚は、DVDの収録内容が当時タイアップしていたアニメ映画のプロモーション映像だったため、「そんなの興味ねーー!」と思い通常版を買った。でももう一枚の方は持っている。『SMILE』というアルバムの初回限定版に付いていたDVDである。DVD付きCDなのに3200円という割安さがエイ○ックスとの違いである。 そして肝心のDVDの内容が、これがまた凄くて。なんとアルバム『SMILE』のレコーディング風景を撮影した映像+貴重なライブ映像である。特にレコーディング風景。これはファン必見。まさか曲作りの様子が見られるとは。「まだ正式な歌詞のついてない曲に適当な歌詞をつけて歌うメンバー」「楽譜見ながらメロディーを覚えつつ発声練習するhyde」「アルバムタイトル決定会議」「レコーディング終了後の乾杯」などなど、貴重な映像がてんこもり。
一番面白いと思ったのが、シングルにもなった「READY STEADY GO」についてのやりとり。この曲は、ラルクの曲の中でも珍しい、つんのめるような速めのビートパンクなのだが、元になった曲はもっと遅いテンポで、ハネたリズムの軽めの曲だったようだ。それを「テンポをもっと上げよう」ということになり、ドラムパートが物凄い演奏が困難で大変なことになるかも、という流れになる。笑いながら「ズッタララララララ!ズッタラララララ!ってやんなきゃね~」と言うギターのkenと、実際それを叩くことになりそうで苦笑いするドラムのyukihiro。でも実際彼はこの曲で見事なまでに華麗なドラミングを披露するんだなこれが。
このように、曲作りの過程が垣間見れるDVDがアルバムについてくるというのはかなり面白くて気が利いてる試みだと思う。間違ってもPVを収録しないのがラルクらしい。ラルクは過去に、傑作PV集を二枚リリースしているから、CDのおまけに付けよう、という安易な案には至らないのだろう。いつか至るかもしんないけどねえ(笑)。ちなみにその傑作PV集『CHRONICLE』は凄いよ。芸術と笑いを融合させ、見事に昇華した、98~00年当時のラルクを象徴するような作品集ですよ。
かつてホリエモンは、「CDは近いうちになくなる。ダウンロードが主流になる」と自信を持って言った。「そんなの絶対イヤ!」と思ってはいるものの、いつか本当にそうなってしまうんだろうなぁ、という予想は私にもつく。でもね、音楽への深い理解なんて1μも無さそうな、音楽を完全にただの商品としか見てないような堀江にそんなこと言われたくないんですよ、CD好きとしては。