久し振りにナイアガラ・グレンに行きました。
終わって、例の鉄の階段を休み休み登りながらフト振り返ると誰も居なかった筈の私の背後から昇って来る人が居ます。たった一人で。。。
私はいつも一人だけれど、一人で来る人ってあまり居ないのでちょっと驚いて
「Are you alone?」とツイ声を掛けました。聞こえなかったらしく、それについての返事はありませんでしたが。。。
日本人と見たのですが、私には一寸ためらいがあります。
もう30年も昔に、地図を広げて議論している数人の日本人を見て「お手伝いしましょうか?」と声を掛けたのが運の尽き。地図を手にした男は凄い憎々しげな眼つきで私を睨みその地図を隠さんばかりに私に背を向けたのでした。
「What did I do to you?!」と言うのが私の咄嗟の心境でしたが、以来絶対に日本人観光客には自分の方からは声を掛けないことに決めています。
道が判らないのだったら教えてあげようという気軽な考えだったのに、引ったくりにでもあったようなあの態度、不愉快千万でしたから。
でも、目が合った時ポッと灯が点ったような輝きがその目に見えたら安心しても良いということも学びました。
この人の眼にも活き活きした親しげな輝きがありました。
日本人観光客でたった一人でグレンに降りていく勇気のある人間なんて思いもよらなかったので、驚きでもあり且つ嬉しくもありましたし。そこから会話が始まったのです。
たった一人で一ヶ月ばかりカナダを旅行し明日は帰国という、言わば最後の日、午後の列車の時間まで散策中に見つけたグレンに何となく降りてみた、、と言うところだったのですが、私のハイクの時間が早くても遅くてもこの出会いは無かったのです。
私はハイクの後は久し振りに和食レストランでお昼を食べるつもりで居ました。そこの揚げ出し豆腐が美味しいので、それが目当てです。
まだ11時頃だし、彼女の列車は午後二時とのことだし、発電所まで歩きたいと聞いて乗せてあげることにしました。車で五分、歩けば。。??の距離ですから。
考えてみると「この人随分時間があるのだわ」と気付いたので、序でにその辺を。。
考え方が似ていることや、単独で行動できるという「私の人種」であることもあって話は弾みました。「揚げ出し豆腐」を付き合いたいと言うのでお昼も一緒にし、結局彼女にご馳走になってしまったのですが、この出会いは何故か「予定されていた」と言う思いを払拭できません。
階段の上に居た私を「天から降りてきた」と彼女は思ったそうですが、上に居た
私から見ると彼女は「地から湧いて出た」人です。
この絆にはどのような意味があるのでしょうね。不思議な不思議な出会いでした。
文中から察するに恐らくお年を召した方みたいですから、珍しいですね。
良い旅の思い出になったかもしれませんね。
私が放浪のたびに出た頃の若さではないですが、まだまだ若さが溢れている人でしたよ。
確かに波長は合ったでしょう。