★ Serena ★

カナダ暮らしのエスペランチスト、自然愛好家。
エスペラントやカナダの野草、ネーチャークラブの活動など思いつくままに。

ペルセへの旅(3) August 14, 2005 15:08

2005-08-15 04:08:11 | カナダ旅行

July 31, ’01
朝日を見るためには早起きの必要がある。
目覚し時計は無視して、カーテンを開けたままで寝ることにした。夜明けの明るさで目が覚めるから。それでもNは目覚し時計をセットしたらしい。
ペルセ岩の向うから朝の赤い光が広がり始め、岩の穴を通って海面に細い赤い影を映す(写真)。太陽の動きに連れて刻一刻と赤い影は位置を変えた。まだ寝静まっている人間の世界はこの神秘的な情景の一部でありながら、遠い存在だった。
ペルセ岩の日の出
ガスペ半島はセント・ローレンス湾に突き出た半島で、湾とは言え、見えるのは水平線のみ。ガスペと名付けた先人の気持ちが解かってくる情景である。ガスペは「地の果て」という意味だから。
太陽がすっかり昇ってしまうと、現実の世界が戻ってくる。二人はまたベッドに潜った。今日の活動は午後からなので、朝食はギリギリの10時頃に。これでは空腹にならないので昼抜き。 午後1時をかなり廻って、忘れられたか。。。と電話をしようとしたらタクシーが現われた。タクシー・ペルセはペルセ唯一のタクシー会社で、今日の運転手は経営者のウィリアムさん。 6年前はお父さんと二人で運転していたが、今は何人か雇用者がいるらしい。後で判ったのだがお父さんは2年前癌で亡くなったそうである。ウィリアムさんのお父さんに関して私は良い印象を持っていたので、それを聞いて大変残念に思った。

ペルセ最後の日、駅までのタクシーを予約してあったのに時間が過ぎても来ないので私はとてもイライラしていたのだった。その列車を逃したらあと二日間ここに立ち往生である。ようやく来てくれたのがお父さんだったが、その日はものすごく忙しかったらしい。何しろ一つしかないタクシー会社で、父子二人だけなのだから無理も無い。彼は「ものすごく忙しかったんですよ。」と言う程度の言い訳しかしなかったし、私も来てくれたのだから、兎に角列車に間に合えば良いので、特別なじる事もしなかったのだけれど、私のイライラは十分承知してくれていたらしかった。駅について支払おうとしたら彼は「It’s on me」と言って受け取ってくれなかったのである。

今日の行程は「グロト」、「サンタンヌ山」、「クレヴァス」を主軸に大きくサンタンヌ山を廻る形に動く。私達の他は若い新婚らしい夫婦と、老夫婦二組の計8名。快晴。
先ずグロトへ行く。サンタンヌ山へ向かう道を途中から右に入って少し行くと車を降り、歩く。グロトは洞窟ではなく、渓谷の側面で、絶壁でもない。横に太い皺になった感じの岩は細かい砂利が混じっていて、この辺の地質の典型らしい。僅かに水がその横皺になった岩を流れ落ちている。上の方の少し平らになった所には「聖ベルナデット」が祈りを捧げている像があった。道端に勿忘草が咲いていた。
戻って、サンタンヌ山へ。途中車を降りて見晴らし、上から戻って来た車と客が入れ変る。事情が良く飲み込めなかったが、少し行くと道路表示が「ここから先は四輪駆動車のみ」と出ていたので納得した。山頂は見晴らしの良い開けたところで聖アンヌの立像がある。百人は座れそうなベンチも並べられてあって、お祭りもあるらしい。遠くを見渡しても見えるのは眼下のペルセ岩とボナヴェンチュァ島のみ。煙るように遥か彼方にニュー・ブランズゥイック州が見えた(写真)ペルセ岩とボナヴェンチュァ島
次はクレヴァスだが、一旦街へ降りて北に向かう。ペルセ岩とは元地続きだったモン・ジョリ共々一望に見下ろせる岬ピック・ドゥ・ローロルへはモテルの建物の間を通り抜けて出る。絶壁が目の前に落ちており、恐いところもあったが眺望は素晴らしい。そこからモン・ブラン山の裾を廻ってクレヴァスへ。
クレヴァスへはやはり車を降りてしばらく歩かなければならない。見晴台からはフォリヨン公園が北に見晴らせる。クレヴァスと呼ばれる岩の裂け目は、柔らかい岩が風雨に晒され、洗い、削り取られることで、立ったお化けのように変形する「ブードゥ-」の初期の現象がこの一部に起こったという感じである。山を下りてから見上げるとそれが良く判る。似たような現象が何匹かの象の群れを思わせる形で、その近くに出来ていた。
サンタンヌ山を廻って降りて来たら、列車が同じだった日本人 夫妻が道を登って来るのを見かけた。まさかサンタンヌ山へ歩いて行くつもりは無いだろうけれど、ちょっとびっくりする。
二時間のツアーは終り、街で降ろしてもらった。それから浜辺で一休み。
カモメが何かを上空から落としていたが、それはウニで、岩をめがけて落とし割るつもりなのだった。何度か落として、外れるとその都度拾ってやり直しする。たかがカモメとバカにする無かれ、何と賢いことをするのだろう。私達の近くの石に当たって割れた時、カモメは降りて来て食べ始めたのに、私が確認したくて近づいたので折角割れたのに放棄しなければならなくなったのは気の毒だった。
岩へ歩ける時間にはまだ間があると思ったが、人々が歩いているので私達も腰を上げる。モン・ジョリの上を廻って階段があるが、今回は人々の行列について南側から浜を歩いて行ってみた(写真)ペルセ岩に向かって歩く
途中で頭を羽の中に隠して立っている鵜に出会った。眠いのか病気なのか良く判らないが、人間が廻りに居ても気にならないらしい。病気かしら、と囁く声もあり、石をぶつけて生きているかどうか試す惨酷な人もいる。
干潮には露出する「通路」は既に大勢の人が通っていて、もうペルセ(貫く)の名の由来である穴の方まで辿りついている人達もいた。岩に到着するまでは問題無いが後は水の中を歩かなければならないから足元が滑って危ない。私達は穴までの半分の距離で止めた。穴まで行った人の話だと、その辺は腰までの深さだとか。靴を濡らしたくなかったので脱いでみたが、裸足はすべるので返って危険。潜水用の靴など良いだろう。ナイアガラ・フォールスのゴート島で「風の洞穴」へ入る時に履く麻布のモカシンも良いアイデアだと思った。
返りはバウム・クーヘンのような岩層の絶壁を見上げながらモン・ジョリ(写真)の北側を廻って上に出る道を帰った。右がペルセ岩左がモン・ジョリ岬
夕食はホテル・ル・ノルマンディーのダイニングルームで少し贅沢に、2時間掛けてのんびりと楽しむ。Nはおしゃれして来たいところだ、と言ったが、このホテルに泊った6年前はそれが出来たけれど、一日の活動が終った後の通りすがりではそれも侭ならず、カジュアルな服装の人がむしろ多かった。
(つづく)



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3 コメント

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Unknown (glimi)
2005-08-15 09:01:52
行きたい!



素晴らしい景色ですね!!
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glimiさんへ (serena)
2005-08-15 19:06:48
見せたい!

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素晴らしい写真。 (りこ)
2005-08-15 21:59:55
今晩は。コメントをどう入れようか~と考えながら文章と写真を見てましたが上記のお二人のコメントが最高。これ以上は蛇足だわ~。ハハハ最高。
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