さて、どっかで聞いたことがあるなぁの第508回は、
タイトル:シュガータイム
著者:小川洋子
出版社:中公文庫
であります。
誰だっけ?
と思ったら、「博士の愛した数式」とおんなじ著者だったか。
主人公のかおるは、奇妙な日記をつけ始めていた。
それはその日に食べたすべてをただ書き連ねていくだけのもの。
日記に書いていけるほどにただ食べることに固執するかおるは、それがいったい何がきっかけになってそうなったかはわからないままで。
そんなかおると、身体が大きくならない病気の弟、恋人の吉田さん、友人の真由子、森君と言ったキャラが織りなす、夏から秋にかけての青春小説。
しかし、何やら奇妙な始まり方で、どうなるかと思ったけど、何か奇妙なこのかおるの姿や何かがじわじわと味わい深くなってくると言うか、妙にはまってきておもしろかったねぇ。
比喩表現などの文章も、最初はなんか違和感があるような、読みづらい感じだったけど、慣れたら慣れたでじわじわ味が出てくる感じだったりするし。
淡々とした感じの文章や進み方は、ちょうど507回の「ルージュ」と似たような感じはあるんだけど、こっちのほうが作品の雰囲気はずっと濃い。
とにかく食べなければならないかおるだが、過食症みたいな強迫観念めいた感じはあまりしないし、かおる自身、けっこう穏やかにそういう自分を見つめている。
また、病気で身体が大きくならない弟を見る姿や、逆に弟からの姉の視線、友人として過食症のかおるを受け入れる真由子。
ある精神科医のもとを訪れたことがきっかけとなった吉田との別れなど。
奇妙な書き出しやかおるの過食症、病気の弟など、重そうな話になりがちな設定ながら、あまりそうは感じられない透明感のようなものがある。
また、序盤中盤あたりに、なんだそりゃ、ってなくらいにあったマーケットでの描写などが、終盤になるに従って奇妙なほどはまって、作品の雰囲気をよりよくしているのもいい。
そんで、これがまた読み進めば進むほど、じわじわ効いてくるのがおもしろい。
う~む、「博士の愛した数式」よりも個人的にはこっちのほうが好みだなぁ。
確かに通じるところはあるけれど、このじわじわ効いてくる作品ってのはなかなかないからねぇ。
でも、ふつうに勧めるとしたら、「博士の愛した数式」だろうなぁ。
人気が出るだけあって、万人受けするタイプの話だったし、ね。
タイトル:シュガータイム
著者:小川洋子
出版社:中公文庫
であります。
誰だっけ?
と思ったら、「博士の愛した数式」とおんなじ著者だったか。
主人公のかおるは、奇妙な日記をつけ始めていた。
それはその日に食べたすべてをただ書き連ねていくだけのもの。
日記に書いていけるほどにただ食べることに固執するかおるは、それがいったい何がきっかけになってそうなったかはわからないままで。
そんなかおると、身体が大きくならない病気の弟、恋人の吉田さん、友人の真由子、森君と言ったキャラが織りなす、夏から秋にかけての青春小説。
しかし、何やら奇妙な始まり方で、どうなるかと思ったけど、何か奇妙なこのかおるの姿や何かがじわじわと味わい深くなってくると言うか、妙にはまってきておもしろかったねぇ。
比喩表現などの文章も、最初はなんか違和感があるような、読みづらい感じだったけど、慣れたら慣れたでじわじわ味が出てくる感じだったりするし。
淡々とした感じの文章や進み方は、ちょうど507回の「ルージュ」と似たような感じはあるんだけど、こっちのほうが作品の雰囲気はずっと濃い。
とにかく食べなければならないかおるだが、過食症みたいな強迫観念めいた感じはあまりしないし、かおる自身、けっこう穏やかにそういう自分を見つめている。
また、病気で身体が大きくならない弟を見る姿や、逆に弟からの姉の視線、友人として過食症のかおるを受け入れる真由子。
ある精神科医のもとを訪れたことがきっかけとなった吉田との別れなど。
奇妙な書き出しやかおるの過食症、病気の弟など、重そうな話になりがちな設定ながら、あまりそうは感じられない透明感のようなものがある。
また、序盤中盤あたりに、なんだそりゃ、ってなくらいにあったマーケットでの描写などが、終盤になるに従って奇妙なほどはまって、作品の雰囲気をよりよくしているのもいい。
そんで、これがまた読み進めば進むほど、じわじわ効いてくるのがおもしろい。
う~む、「博士の愛した数式」よりも個人的にはこっちのほうが好みだなぁ。
確かに通じるところはあるけれど、このじわじわ効いてくる作品ってのはなかなかないからねぇ。
でも、ふつうに勧めるとしたら、「博士の愛した数式」だろうなぁ。
人気が出るだけあって、万人受けするタイプの話だったし、ね。