つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ダンディなのは主役ではない

2006-04-04 23:54:57 | マンガ(少女漫画)
さて、漫画企画第二弾な第490回は、

タイトル:異国館ダンディ(全八巻)
著者:加藤知子
文庫名:花とゆめコミックス

であります。

血のつながらない兄妹のラブコメです。
多少ミステリの要素も入ってます、兄がホームズで妹がワトソン、かな。



天涯孤独の娘・島木蔦子は復讐の鬼と化していた。
ある日届いた一通の手紙により、既にこの世にいない両親が財産を騙し取られたこと、その犯人が悪名高き大財閥・秋葉家であることを知ったのである。
しかし、当の秋葉の屋敷に来てみれば、仇である秋葉嗣人は既に他界しており、息子の不比等が後を継いでいた。

蔦子は攻撃目標を不比等に変更するが、屋敷にいる人間全員が自分と同じ刺客だと解り、大慌て。
事件を解決した不比等は、手紙の差出人が自分であることを明かし、蔦子に秋葉家の一員にならないかと持ちかけた。
こうして、脳天気な兄を小突き回し、次々と襲い来る刺客をどつき倒す、蔦子の奇妙な生活が始まった……。



メインキャラ同士の掛け合い漫才が非常に楽しいです。

島木蔦子→秋葉蔦子嬢は泣く子も黙る元気印。
敵も味方もシメるパワーと、後先考えない勢いが持ち味で、男性キャラの殆どが一回は殴られてました。(高人氏除く)
ちなみに、不比等のライバルキャラであるヴィットールといる時だけは、妙に女の子してました……王道だなぁ。(笑)

秋葉家の当主・秋場不比等は自他共に認めるおぼっちゃま。
普段はボケボケ、妙な所で意地悪なツッコミを入れ、笑って悪役を罠にハメるとゆー、典型的な性悪キャラでした。
蔦子の存在を認めたことと、ヴィットールが出現したことでシリアス度がアップ、割と悲壮なキャラになっちゃいました。

後はやっぱり、不比等の叔父の秋葉高人氏でしょうか。
不比等の後見人で、秋葉家の実権を握る渋いおっちゃん。
一応、一度だけ不比等に敗れましたが、その後は異常に強くなり、最強キャラとして最後まで君臨してました……あれは作者の偏愛に違いない。(笑)

他にも変な連中がわんさか出るけど割愛。
最初っから相思相愛なタイプのラブコメなので、仮の兄妹という関係と、財産絡みのトラブルを最大限利用して、なかなかゴールインできないようにしてます。
後半、悪行の限りを尽くした父親の影に追われる不比等がクローズアップされ、普通のストーリー漫画になった感はありますが、それはそれで好きです。

絵がちょっと不安定なのですが、結構オススメ。
濃いキャラ達の丁々発止のやり取りをお楽しみ下さい。
ヴィットールと殺し屋T・B以外に、強敵がいなかった気がするのは……まぁ、置いときましょう。



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