つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

あれま

2006-04-09 21:06:16 | 小説全般
さて、実は回数は日数ではないの第495回は、

タイトル:香水物語
著者:森瑤子
出版社:角川文庫

であります。

表題の「香水物語」と「宝石物語」のふたつの大きなカテゴリーに分けられており、「香水物語」は20編、「宝石物語」は26編のショートショートが収録されている。
1話はたった2ページ程度のものから、10ページ程度のものまであるが、そのほとんどは3~4ページで完結するストーリー。

内容は概ねハッピーエンドの恋愛小説で、各話に登場する男女は概ね20代か。
か、と言うのは収録されているほとんどのキャラクターが、「彼」又は「彼女」という書き方で名前がはっきりと出てくる話のほうが少ないから。
もっとも、1話がとても短いので名前がはっきり出なくても気にはならないけど。

全体としては、しっとりとした大人の恋愛を描いていて、とても雰囲気のある作品になっている。
また各話、特に香水物語のほうは香水を小道具としてうまく使っていて感心させられる。
この香水の話でいいなと思ったのは「香水物語」中の「本当のことだけ言って……」かな。
まぁ、ちょっとご都合主義的な匂いがぷんぷんするのがいただけないところではあるけれど、こういう綺麗な話はいいね。

あとは、「宝石物語」の「よくある話」
結婚記念日のやりとりをする夫婦の話で、まわりくどく核心に迫る妻のほうとわかっていながらとぼける感じの夫の姿がおもしろい。

「香水物語」のほうだと、「パパの恋人」かな。
父娘だけの家族で、父親が娘に会ってほしい女性がいる、と語るところから。
まぁ、これもありふれた話なのだが、父親の下手なスクランブルエッグや香水の扱い方が印象的。

他には、「土曜の夜の幸福、日曜の朝の胸さわぎ」「触れもしないのに……」とかかな。

でもこれ、1日で一気に読んでしまったけど、読み方としたら1日1話とか、じっくりと余韻を味わうくらいの時間をかけて読むほうがいいのかもしれない。
短いから気に入った話はいつでも何度でも読めそうだし、ね。