つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

タダより高い物はない?

2006-04-05 17:10:43 | マンガ(少年漫画)
さて、(懐かしの?)漫画企画第三弾な第491回は、

タイトル:銀河鉄道999(全十八巻)
著者:松本零士
文庫名:ヒットコミックス

であります。

これまた、前々から紹介しようと思っていた作品。
ちなみに旧版です、現在連載中の新版ではありません。

機械化人によって親を殺された少年・星野鉄朗が謎の美女メーテルとともに、機械の身体をタダでくれる星を目指すという物語です。
二人を乗せて星の海を渡るのは、銀河鉄道管理局が誇る銀河超特急999(スリーナイン)号……なぜか途中下車が許されない片道列車。
地球からアンドロメダまでの旅の道中、鉄朗はいくつもの星を訪れ、様々な人々と出会い、宇宙の旅人として成長していくのですが……。

すいません――
説明不要!
って言っていいですか?

SF漫画の古典であり、何度読んでも考えさせられる寓話であり、大ヒットしたアニメーションの原作でもある本作。
今更解説するまでもないと思うし、万が一知らない人がいたとしても――
読め!
の一言で終わらせられる! いや、終わらせたい!

というわけでこれ以降は、何らかの形で、銀河鉄道999という作品を知っていることを前提に書きます。

999と言えば謎の美女メーテル!
銀河鉄道管理局に顔がきき、各星の支配者すら震えさせ、共に過酷な旅をくぐり抜けた若者をネジに変えていく魔性の女!
常に冷静で、すべてを把握している風なのに、結構抜けてたりもする、不思議な方でございました……死んでも蘇るから、そこらへん無頓着になっているのかも。

うっかり八兵衛のような車掌さんも好きです。
当初は仕事一徹で、規則違反をした乗客をささっと始末したりしてたんだけど……いつのまにやらギャグ担当に……面白いからいいけど。
あ、でも原作で一回だけあった、車掌さんの過去に関するエピソードは良かったなぁ、哀愁漂ってて。

銀河鉄道というファンタジックな道具を使いながら、かなりハードな物語を展開しているのも魅力。
全体的に暗いトーンの世界、凄惨な死に方をするゲスト、これでもかと出てくる零士メーター(笑)、正直、最初はかなり引いた覚えがあります。
しかし、慣れるとその背後にあるものを考えるようになり、次第に引き込まれていって……気付いたらどっぷりハマってました。

アニメ版、もしくは劇場版しか知らないという方、独特の濃い絵が苦手でなければ原作も読んでみて下さい。
個人的には、漫画の方がダイレクトにメッセージが伝わってくる、と思います……手加減ないしね。(笑)
全100話以上あったアニメ版を全部見た人はそうそういないだろうし、取りこぼしたエピソードを知る、という意味でも一読の価値はあります。

続編については……まだ未完なのでコメントは伏せます。
漂流幹線000という裏999みたいな作品があるけどこちらは未読。
松本零士の作品はリンクの張り方が無茶苦茶なので、全部読んだらまた頭の中の設定がゴチャゴチャになりそうだけど……。

文句なしにオススメ。
キャプテン・ハーロックやクイーン・エメラルダスと違ってちゃんと完結してるのもポイント高いです。(←禁句?)

全巻読む余裕がなくて、全体を通したストーリーだけ知りたいというなら、劇場版第一作『銀河鉄道999』を拾ってくるのも手かも。
原作と違う部分はありますが、ゲストとしてハーロック、エメラルダス、トチローの御三方は出るし、ストーリーもまとまってるし、かなりオススメ。
鉄朗の顔と年齢が変わっているのが賛否両論みたいだけど、私は賛成派です……格好良いし。