つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

久々というより初めてかも

2006-04-15 14:03:42 | 小説全般
さて、いつの間にか超えてるなぁの第501回は、

タイトル:グラジオラスの耳
著者:井上荒野
出版社:光文社文庫

であります。

表題作を含む5編の短編が収録された短編集。
ちなみに、グラジオラスとはアヤメ科の球根植物で、唐菖蒲、阿蘭陀菖蒲などの別名がある(ぐぐってみた)
……だからどうした、とは言わないように(笑)

さて、各話。

「グラジオラスの耳」
高校の同級生たちの話。約70ページ。

「暗い花柄」
不倫の話らしい。

「わたしのヌレエフ」
よくわからんが姉弟の話。

「楽天ちゃん追悼」
追悼する話。

「ビストロ・チェリィの蟹」
あるレストランでの話。

……えー、さぼっているわけではない、断っておくが。
はっきりと、ストーリー解説をする気がない。

解説の江國香織の言によると、「不可解で、可笑しくて、豊か」らしい。
また、「この小説集が単純に好きで、それは『おもしろいから』『好き』という以外にない」らしい。
あー、そうですか、よかったですねぇ。

この短編集、読んでいてすんごく苦痛だったね。
はっきり言って、気持ち悪い。
登場人物の多さ、ころころ変わる中心となるキャラ、読みにくい文章、情景がまったく思い浮かばない描写、とにかくだらだらと無軌道としか思えないストーリー展開。
これを好きだと言う江國香織やファンのひとには申し訳ないが、これのどこがおもしろいのか、さっぱりわからない。
……いや、わかりたくもない。

気持ち悪い、と言うのもどこがどうと並べたところで意味はないだろうね。
「グラジオラスの耳」を読んでいる時点でマジで気分が悪くなるくらい気持ち悪かったんだから、しょうがない。
この著者の感性、書き方、ストーリー展開はとにかく、私の感性に合わないんだろう。
まぁ、解説の「不可解」という部分についてのみ、同感ではあるが。

……にしても、ここまで最悪だと思った小説は初めてかもしれない。
好みの問題で、最低だの最悪だの言うことはいくらでもあったし、実際そういう小説を読み進めるのは苦痛ではある。
だが、それもやや引いて、そういうものとして読み進めることは出来るし、ここがダメ、ここが嫌い、と言えるんだが……。
これはそれを超越して、とにかく理屈ではなく、感性が受け入れなくて、拒絶反応が出るくらいだもんなぁ。
逆の意味で、すごい短編集だとは言えるだろう。

……まぁ、貴重な体験をしたと思っておくことにしよう。
それにしても、部屋に転がってる本の中のいったいどれで口直ししようか……。