F.E. Thomasは米国東海岸メイン州のロッドメーカー。錦織則政氏の「The History of Bamboo Fly Rods」によればLeonard(レナード)社で職工として研鑽を積んだFrederick Elton ThomasとEustis William Edwardsが1898年興した「Thomas & Edwards Co.」からこの事業では2人分の収益が期待出来ないとEdwardsが脱退し1900年に「F.E.Thomas Rod Co.」として竹竿の本格生産を開始したとあります。
同社の主力製品は1901年に発表されたDirigo、1904年のSpecialだとの事(大恐慌時に発表された廉価版Bangorもあり)。Hardyとは違いスペックが確立したモデル群がある訳でもなく、長さ、グリップ、アクションも客の注文に応じ柔軟に製造した由で、中古品しか入手出来ない現在、手に取って見ないとアクションは解らない竿との事。
今回紹介のこの竿は、シンセティック材料を使ったフライを精力的に創造した米国の故John Betts氏が元々所有し、それをオーバーホールしたものをオランダの著名リール・デザイナー、メーカーのAri t'Hart氏に贈った物。
非常に変わった点はミドルセクションが2本もある3本継の竿という点。従い、F.E.Thomas Bangor Maine 1911 Custom Special 5 piece Tonkinと銘打たれております。
トップガイドはHardyの様な瑪瑙入りでなく、Thomas竿に特徴的なガイド。チューブを竹に被せて接着、シルクで巻き留める他の竿のトップガイドとは違い、足付きのガイドを竹を削りそこに乗せ(スプライス)接着、シルクで留めたもの。
Special機種に装着の遊動式フックキーパー。また、後年巻き直されたと思いますが3本、3本の飾り巻きもあります。
この竿の珍しいところはグリップがラタンで巻かれているところ。コルクの上から巻いている様子。Hardyが20世紀初めに米国に輸出した竿にもラタン巻きグリップがあったと思いますが、当時米国で流行っていたのでしょうか。
バットエンドのキャップには「F.E.Thomas Bangor ME」と銘が入っております。
更に、キャップの底には謎の数字「5」が。この数字の意味は判っていないそうです。
バットエンドのキャップはピンで止められ抜けを防止しております。
リールフットの部分は昔の竿の特徴で精密に作られており、逆にいうと公差(トレランス)が少なく、どんなリールでも入るという訳にはいきません。私の手持ちでは1912年チェックのPerfect Reelは装着不能でした。
ストリッピングガイドは瑪瑙入り。F.E.Thomas竿の初期の特徴を示しております。
スネークガイドは左巻きの英国式。Hardy竿で慣れているので違和感はありません。
トップガイドのシルク巻きは厚くバーニッシュも乗っているのでよく判りませんが、他の竿とは違う事が解ります。
同じ9'で3本継のC.C. de Franceと比べてみると、F.E.Thomas竿のアクションはより胴調子。Mediumというもの。手に持った重さでみるとC.C. de Franceよりも軽く感じます。
トップの太さは両竿とも同じ様ですが、C.C. de Franceの方が細い感じで、振ってみるとF.E.Thomas竿よりも曲がる感じです。
フェルールはF.E.Thomas竿の方がちょっと長めですが、余り差はありません。
F.E.Thomas竿のアクションは先程も述べました様に胴調子。但し長竿ですので、HardyのMarvel 7'6''の様なペナペナ感はありません。合うシルクラインは1番くらい(AFTM3-4程度)から2番(AFTM5程度)まででしょう。中小型のウェットフライ、ドライフライの釣りはとても楽しそうな竿です。
私にとっては最初の米国竿でありますが、特段此れまでの欧州竿と大きく違うという感じはありません。釣りに使っていけば違いが見えてくるのでしょうか。
同社の主力製品は1901年に発表されたDirigo、1904年のSpecialだとの事(大恐慌時に発表された廉価版Bangorもあり)。Hardyとは違いスペックが確立したモデル群がある訳でもなく、長さ、グリップ、アクションも客の注文に応じ柔軟に製造した由で、中古品しか入手出来ない現在、手に取って見ないとアクションは解らない竿との事。
今回紹介のこの竿は、シンセティック材料を使ったフライを精力的に創造した米国の故John Betts氏が元々所有し、それをオーバーホールしたものをオランダの著名リール・デザイナー、メーカーのAri t'Hart氏に贈った物。
非常に変わった点はミドルセクションが2本もある3本継の竿という点。従い、F.E.Thomas Bangor Maine 1911 Custom Special 5 piece Tonkinと銘打たれております。
トップガイドはHardyの様な瑪瑙入りでなく、Thomas竿に特徴的なガイド。チューブを竹に被せて接着、シルクで巻き留める他の竿のトップガイドとは違い、足付きのガイドを竹を削りそこに乗せ(スプライス)接着、シルクで留めたもの。
Special機種に装着の遊動式フックキーパー。また、後年巻き直されたと思いますが3本、3本の飾り巻きもあります。
この竿の珍しいところはグリップがラタンで巻かれているところ。コルクの上から巻いている様子。Hardyが20世紀初めに米国に輸出した竿にもラタン巻きグリップがあったと思いますが、当時米国で流行っていたのでしょうか。
バットエンドのキャップには「F.E.Thomas Bangor ME」と銘が入っております。
更に、キャップの底には謎の数字「5」が。この数字の意味は判っていないそうです。
バットエンドのキャップはピンで止められ抜けを防止しております。
リールフットの部分は昔の竿の特徴で精密に作られており、逆にいうと公差(トレランス)が少なく、どんなリールでも入るという訳にはいきません。私の手持ちでは1912年チェックのPerfect Reelは装着不能でした。
ストリッピングガイドは瑪瑙入り。F.E.Thomas竿の初期の特徴を示しております。
スネークガイドは左巻きの英国式。Hardy竿で慣れているので違和感はありません。
トップガイドのシルク巻きは厚くバーニッシュも乗っているのでよく判りませんが、他の竿とは違う事が解ります。
同じ9'で3本継のC.C. de Franceと比べてみると、F.E.Thomas竿のアクションはより胴調子。Mediumというもの。手に持った重さでみるとC.C. de Franceよりも軽く感じます。
トップの太さは両竿とも同じ様ですが、C.C. de Franceの方が細い感じで、振ってみるとF.E.Thomas竿よりも曲がる感じです。
フェルールはF.E.Thomas竿の方がちょっと長めですが、余り差はありません。
F.E.Thomas竿のアクションは先程も述べました様に胴調子。但し長竿ですので、HardyのMarvel 7'6''の様なペナペナ感はありません。合うシルクラインは1番くらい(AFTM3-4程度)から2番(AFTM5程度)まででしょう。中小型のウェットフライ、ドライフライの釣りはとても楽しそうな竿です。
私にとっては最初の米国竿でありますが、特段此れまでの欧州竿と大きく違うという感じはありません。釣りに使っていけば違いが見えてくるのでしょうか。
遂に一線を越えられましたね😅
益々のご精進を願っております!!
nori 拝
コメントを頂き大変ありがとうございました。
nori様のF.E.Thomasについての情報を読んでいたものですからぼんやりとこのメーカーの事を認識しておりました。そこに英国からこの竿の情報が来たもので、何か縁があるのか、入手してしまいました。Medium或いはウェットフライ用のEasyアクションかも、と思う調子の竿で軽めのシルクラインで楽しく使えそうだと思い、妄想を温めております。私はやっぱりハーディーが基本の釣り人なので欧州竿に捧げた操は守るつもりですが、F.E.Thomasとはプラトニックなお付き合いをしたいなと思います。
実は拙者も二本だけ所有しており気分転換程度に使います 9半のレナードと11フィートのオービスですが勿論悪くない竿ではあります、前者にはDT7のシルク後者にはDT8のシルクをのせて使っております。あまり気を遣うことなくゆっくりとした奇麗なラインの投射も可能ですし 大型魚と渡り合う力も
十分備えております ランディング性能はハーディーに大きく軍配が上がりますが悪くはないです。
とても道具として合理的です。
コメントを頂き大変ありがとうございました。
米国竿にも手を出してしまいましたが、この竿、シルクラインのNo.1 (AFTM3-4)で振ってみると私の手持ちの竿で言えばPezon et MichelのSawyer Nymph 8'10''をよりへたらせた様な感じです。へたらせるというのは語弊がありますので、より使い込んで新品の張りが無くなった感じというのが適切かも知れません。ゆったりとしたリズムで振るとラインが飛んで行ってくれる感じでありました。ウェットフライとドライフライ両方とも使える竿です。残念ながら魚をかけていないので釣魚感・ランディング性能はこれからのお楽しみであります。
尚、この竿もHardyの竿と同様マシーンカットで、熱を過度に加えて竹の繊維を揃えるコスメティックは行っておりません。そのためか108年経ってもまだまだだ釣りに使える耐久性を備えていると思います。
来年のシーズン入りが待ち遠しいです。