ぶらっと散歩

訪れた町や集落を再度訪ね歩いています。

山口市の吉敷畑から大峠・馬路垰の肥中街道

2023年10月27日 | 山口県山口市

        
                この地図は、国土地理院の2万5千分の1地形図を複製加工したものである。
         肥中(ひじゅう)街道は、中世、大内氏の居館地である吉敷郡山口と豊浦郡神田の肥中浦を
        東西に結ぶ14里(約56㎞)ほどの街道である。
         当時の肥中浦は、明や朝鮮への重要な貿易港であり、筑前博多への船も多くここから発
        向したという。(歩行約6.3㎞)

        
         JR山口駅(10:00)から秋吉行きJRバス約40分、吉敷畑バス停で下車する。

        
         バス停から旧国道を離れて丸岳登山道に入る。(見返ると吉敷畑橋)

        
         「この扉は「肥中街道」の大峠(おおたお)方面への出入り口です。イノシシの進入防止の
        柵です」とある。

        
         柵を越えて大垰への道に入ると整備されている。 

        
         すぐにジグザグ道となるが予想に反して快適な道である。

        
         どなたが管理されているのか倒竹もない。

        
         やがて大垰に上がる。

        
         吉敷の西北境にあって海抜373mは、周防と長門の国境で古くは「大峠」あるいは「
        逢坂峠」といった。大内氏はこの地に関所を置き、毛利氏はここに「大垰監門」という関
        所を置いた。
         1932(昭和8)年山口~大田間に新しい県道が完成すると、人通りが絶えて忘れられた
        道となる。大きな石灯籠の竿に「延亨二年(1745)」の刻銘があるが、
山口大神宮参拝のた
        めの灯籠ともいわれている。

        
         垰から先は草刈りをされていた。

        
         下って行くと広い道(市道?)に合わす。

        
        その先で県道佐々並町絵(ちょうえ)美東線となる。

        
         この先の左手にある擁壁手前から馬路峠への道に入る。この付近は県道造成により旧街
        道は大きく変化したようだ。

        
         入口付近は少し藪化しているが歩きやすい道になる。

        
         植林帯の中に細い道が続く。

        
         下って行くと鳳翩山トンネルの出入口上で三差路となる。左が街道筋だが崩落で途絶え
        ている。

        
         そのまま谷筋を進むと保安林を示す標柱がある。

        
        
         馬路垰付近だが案内などはない。 

        
         伐採地付近から街道は林道化する。

        
         その林道も薮化している。

        
         江嶺山が大きく見え始めると街道は草刈りされていた。街道から見る江嶺山は、ほんの
        3歩の間だけ富士に似て見えることから、長田村の画家・長井江嶺(1762-1852)はその佳景
        を愛し、その印象を歌に詠み「三足富士」という別名をつけたという。
馬路垰付近に歌碑
        があるというが薮化のため見落とす。
         碑には  「あづま路にあふぐ高根の 面影の
                  爰(ここ)に移りて三足富士の名」とあるそうだ。

        
         舗装路に出るがここも県道佐々並町絵美東線である。

        
         右手の民家は無住である。

        
         町絵は西鳳翩山西南麓の谷間に散在する集落で、江戸期には45軒、昭和初期頃には約
        30軒の民家があったようだが、今では数軒に生活感がみられる程度である。

        
         多くが耕作放棄されてセイタカアワダチソウ畑となっている。

        
         三差路は左の県道309号線を進む。

        
         見返って町絵集落を後にする。

        
         垰越えすると沖田集落に入り、正面に見える民家前を右折する。 

        
         正面に切畑集落。

        
         長田川に架かる月見橋を渡るが、前方に「長田川改修記念碑 平成20年(2008)」の石
        碑が建立されている。

        
         山裾の切畑集落(右)と圃場整備された田圃の間の直線道。

        
         三隅小郡線に合わす手前に三界萬霊塔。この世に存在する一切の霊(萬霊)を多くの人に
        供養してもらうことを願って、寺院の入口や路傍に建立された。

        
         切畑バス停向い側の石碑は、明治天皇に関係するもので地元の方が建立されたものとい
        う。残念ながら内容を知ることはできなかった。 

        
         切畑バス停に出ると、待ち時間なく新山口駅行きのバス(13:27)に乗車できるので歩きを
        止める。        
         馬路垰へのルートは上がり口が不明瞭であり、崩落地と薮化した道であるため、町絵越
        えルートの方がベストのようだ。 


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