昭和47年4月の名人戦第2局です。

後手大山先生の中飛車に中原先生の棒銀。ツノ銀中飛車には棒銀というのが私の好みです。最初がこの将棋で嬉しいです。
この棒銀は、先手なら48飛と途中下車してから38飛、後手なら62飛とはしないで72飛、それは中飛車からの45歩のさばきを警戒して指すからです。

大山先生らしい袖飛車での反撃。これは玉が薄くなるので真似をする人がいません。大山先生は定跡化されて研究で負けるのが嫌いなのです。

袖飛車に対して攻め合いです。でも66銀と備えておくほうが普通。この将棋がもとでそれが定跡になったのかもしれません。

角をすぐにとっても49銀が残るので玉頭も整備します。

32の金が浮くので角銀交換には成功します。

ここで43金の活用が大山先生らしい。後手陣の姿がいいです。

先手も割打ちを消しておきます。

この銀を打たれてみると先手の苦戦がはっきりしてきます。駒得でもと金を作られてはいけません。

反撃には自陣角ですが

角銀交換は解消、飛車は取れるのですがここで53角が感触の良い手になります。

ここまで進むと玉は露出しているものの、後手陣の姿がいいです。

先手も と金の活用を阻止する粘りです。

この歩が真似しにくいです。47角と打ってしまいそう。あわてません。

さらにこの歩ですね。怖いのですが読み切っています。

先手は上から押さえつける攻めですが、歩切れなので一枚捨てて3枚の攻め。

玉を72から81に引いたところ。いろいろなところで取り上げられる大山先生の名手です。まあこの局面なら考えそうですが、65歩のあたりで読み切っているのです。歩切れの相手に83飛成とさせて受けきるのですから見落としそうです。

これで先手の攻め駒も4枚。でも後手玉が詰みません。

75桂から追いかけて難しくない寄せです。簡単に見せるのもプロの技といいますが。
中盤の金銀の連携、駒損でも と金つくりで指せるという大局観、受けて勝つ読み、大山先生の傑作です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:中原十段棋聖
後手:大山名人王将王位
先手省略名:中原
後手省略名:大山
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 6八玉(59)
8 5二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5六歩(57)
14 7二銀(71)
15 5八金(49)
16 7一玉(62)
17 3六歩(37)
18 4三銀(42)
19 6八銀(79)
20 8二玉(71)
21 5七銀(68)
22 1四歩(13)
23 6八金(69)
24 5四歩(53)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 4六歩(47)
28 3二金(41)
29 3七銀(48)
30 6四歩(63)
31 4八飛(28)
32 7四歩(73)
33 2六銀(37)
34 6三銀(72)
35 3五歩(36)
36 同 歩(34)
37 3八飛(48)
38 7二飛(52)
*大山得意の袖飛車だが誰も真似しない。
39 3五銀(26)
*66銀もあるだろう。
40 7五歩(74)
41 4五歩(46)
42 同 歩(44)
43 4四歩打
44 5二銀(43)
45 3四銀(35)
46 7六歩(75)
47 6六歩(67)
48 4四角(33)
49 4五銀(34)
50 3三角(44)
51 4四銀(45)
*角銀交換にはなるので居飛車指せるとみているのだろうが、52銀の形もよい。
52 4三金(32)
53 3三銀成(44)
54 同 桂(21)
55 6七金(58)
56 3七歩打
57 2八飛(38)
58 4七銀打
59 6五歩(66)
60 3八歩成(37)
61 2六飛(28)
62 4八と(38)
63 6四歩(65)
64 同 銀(63)
65 2八角打
66 3七歩打
67 同 角(28)
68 5五歩(54)
69 7三歩打
70 同 飛(72)
71 5五角(88)
72 同 銀(64)
73 同 角(37)
74 6四歩打
75 同 角(55)
76 5三角打
77 7三角成(64)
78 同 玉(82)
*ここまで進めば後手のペース
79 7四歩打
80 同 玉(73)
81 2八飛(26)
82 3八歩打
83 2七飛(28)
84 3六銀成(47)
85 3七飛(27)
86 同 成銀(36)
87 同 桂(29)
88 4九飛打
89 6九歩打
90 5九と(48)
91 7五歩打
92 同 角(53)
93 6六銀(57)
94 9三角(75)
95 3四歩打
96 6五歩打
*47角が普通だが、玉の安定を優先して我慢する。
97 5五銀(66)
98 5三金(43)
99 3三歩成(34)
100 5四歩打
101 8六桂打
102 7三玉(74)
103 7四銀打
104 7二玉(73)
105 7三銀打
*攻め駒が減るので他の順を指したいのだが。
106 同 桂(81)
107 同 銀成(74)
108 同 玉(72)
109 8五桂打
110 7二玉(73)
111 7三飛打
112 8一玉(72)
*この玉が有名。盲点になる。大山先生はいつから気が付いていたのだろうか。
113 8三飛成(73)
*角を取るほうが難しそう。
114 8二歩打
115 7三桂(85)
116 7一玉(81)
117 6一桂成(73)
118 同 銀(52)
119 7二歩打
120 同 銀(61)
121 5三龍(83)
122 6一銀打
123 7四桂(86)
124 6九と(59)
125 同 金(68)
126 7五桂打
127 6八金(67)
128 6七銀打
129 8八玉(78)
130 6八銀(67)
131 7三歩打
132 7七金打
133 投了
まで132手で後手の勝ち

後手大山先生の中飛車に中原先生の棒銀。ツノ銀中飛車には棒銀というのが私の好みです。最初がこの将棋で嬉しいです。
この棒銀は、先手なら48飛と途中下車してから38飛、後手なら62飛とはしないで72飛、それは中飛車からの45歩のさばきを警戒して指すからです。

大山先生らしい袖飛車での反撃。これは玉が薄くなるので真似をする人がいません。大山先生は定跡化されて研究で負けるのが嫌いなのです。

袖飛車に対して攻め合いです。でも66銀と備えておくほうが普通。この将棋がもとでそれが定跡になったのかもしれません。

角をすぐにとっても49銀が残るので玉頭も整備します。

32の金が浮くので角銀交換には成功します。

ここで43金の活用が大山先生らしい。後手陣の姿がいいです。

先手も割打ちを消しておきます。

この銀を打たれてみると先手の苦戦がはっきりしてきます。駒得でもと金を作られてはいけません。

反撃には自陣角ですが

角銀交換は解消、飛車は取れるのですがここで53角が感触の良い手になります。

ここまで進むと玉は露出しているものの、後手陣の姿がいいです。

先手も と金の活用を阻止する粘りです。

この歩が真似しにくいです。47角と打ってしまいそう。あわてません。

さらにこの歩ですね。怖いのですが読み切っています。

先手は上から押さえつける攻めですが、歩切れなので一枚捨てて3枚の攻め。

玉を72から81に引いたところ。いろいろなところで取り上げられる大山先生の名手です。まあこの局面なら考えそうですが、65歩のあたりで読み切っているのです。歩切れの相手に83飛成とさせて受けきるのですから見落としそうです。

これで先手の攻め駒も4枚。でも後手玉が詰みません。

75桂から追いかけて難しくない寄せです。簡単に見せるのもプロの技といいますが。
中盤の金銀の連携、駒損でも と金つくりで指せるという大局観、受けて勝つ読み、大山先生の傑作です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:中原十段棋聖
後手:大山名人王将王位
先手省略名:中原
後手省略名:大山
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 6八玉(59)
8 5二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5六歩(57)
14 7二銀(71)
15 5八金(49)
16 7一玉(62)
17 3六歩(37)
18 4三銀(42)
19 6八銀(79)
20 8二玉(71)
21 5七銀(68)
22 1四歩(13)
23 6八金(69)
24 5四歩(53)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 4六歩(47)
28 3二金(41)
29 3七銀(48)
30 6四歩(63)
31 4八飛(28)
32 7四歩(73)
33 2六銀(37)
34 6三銀(72)
35 3五歩(36)
36 同 歩(34)
37 3八飛(48)
38 7二飛(52)
*大山得意の袖飛車だが誰も真似しない。
39 3五銀(26)
*66銀もあるだろう。
40 7五歩(74)
41 4五歩(46)
42 同 歩(44)
43 4四歩打
44 5二銀(43)
45 3四銀(35)
46 7六歩(75)
47 6六歩(67)
48 4四角(33)
49 4五銀(34)
50 3三角(44)
51 4四銀(45)
*角銀交換にはなるので居飛車指せるとみているのだろうが、52銀の形もよい。
52 4三金(32)
53 3三銀成(44)
54 同 桂(21)
55 6七金(58)
56 3七歩打
57 2八飛(38)
58 4七銀打
59 6五歩(66)
60 3八歩成(37)
61 2六飛(28)
62 4八と(38)
63 6四歩(65)
64 同 銀(63)
65 2八角打
66 3七歩打
67 同 角(28)
68 5五歩(54)
69 7三歩打
70 同 飛(72)
71 5五角(88)
72 同 銀(64)
73 同 角(37)
74 6四歩打
75 同 角(55)
76 5三角打
77 7三角成(64)
78 同 玉(82)
*ここまで進めば後手のペース
79 7四歩打
80 同 玉(73)
81 2八飛(26)
82 3八歩打
83 2七飛(28)
84 3六銀成(47)
85 3七飛(27)
86 同 成銀(36)
87 同 桂(29)
88 4九飛打
89 6九歩打
90 5九と(48)
91 7五歩打
92 同 角(53)
93 6六銀(57)
94 9三角(75)
95 3四歩打
96 6五歩打
*47角が普通だが、玉の安定を優先して我慢する。
97 5五銀(66)
98 5三金(43)
99 3三歩成(34)
100 5四歩打
101 8六桂打
102 7三玉(74)
103 7四銀打
104 7二玉(73)
105 7三銀打
*攻め駒が減るので他の順を指したいのだが。
106 同 桂(81)
107 同 銀成(74)
108 同 玉(72)
109 8五桂打
110 7二玉(73)
111 7三飛打
112 8一玉(72)
*この玉が有名。盲点になる。大山先生はいつから気が付いていたのだろうか。
113 8三飛成(73)
*角を取るほうが難しそう。
114 8二歩打
115 7三桂(85)
116 7一玉(81)
117 6一桂成(73)
118 同 銀(52)
119 7二歩打
120 同 銀(61)
121 5三龍(83)
122 6一銀打
123 7四桂(86)
124 6九と(59)
125 同 金(68)
126 7五桂打
127 6八金(67)
128 6七銀打
129 8八玉(78)
130 6八銀(67)
131 7三歩打
132 7七金打
133 投了
まで132手で後手の勝ち
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