小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

石破幹事長が安保相就任を固辞――総理との安全保障政策が違うという。国民への説明責任を果たせ。

2014-08-25 06:29:35 | Weblog
 とにかく、暑い。今週は首都圏でも多少雨が降るらしいが、厳しい残暑は続くようで、その分湿度は高くなり「不快指数」は増大しそうだ。もっとも現在はテレビなどの気象情報では不快指数は発表していないが…。
 広島などの豪雨被災地で、上から下まで防護服に身を包んで災害救助に当たっている方たちのご苦労を思うと、何もこんな猛暑の時期に大雨を降らさなくてもいいのに、と天を恨みたくなる。
 かく言う私も完全に体調を崩してしまった。3年前には丸1年間、棒に振ってしまったので、今度は無理をしない範囲でブログも書いていこうと思う。

 河村建夫氏…といっても知っている人はきわめて少ないと思う。マス・メディアの政治部の記者でもあまりご存じないのではないか。実はこの人が、内閣改造の舞台裏で大きな存在に浮上しつつある。次期総選挙のキーマンになる可能性すらある。
 石破茂幹事長が改造内閣で新設の「安全保障法制担当大臣」の椅子就任を拒否していることはすでに読者はご存じだろう。石破氏は「安全保障についての考え方が総理とは違う。その点を国会で野党から追及されたら党にも迷惑をかけるし、国益にも反する」と安倍総理の要請を断る理由を明らかにしている。
 だが、メディアの報道では、二人の安全保障についての基本的考え方の相違がよく分からない。石破氏は、国民によく分かるよう説明する必要があるだろう。少なくとも「安倍式安全保障体制」が日本の国益にとってどういう意味を持つのかを国民に説明すべきだろう。
 安倍総理が目指す安全保障とは、アメリカの外交政策に完全に追随することを意味することは、私もこれまでさんざんブログで書いてきた。ウクライナ問題をめぐっても、安倍・日本は政治的中立を保持せず、オバマ大統領の要請(また間違えた。「恫喝」だった)によってロシアへの制裁を発動し、ロシアから決定的なカードを切られてしまった。安倍総理が目指す安全保障外交によって、日本の安全保障環境は従来より、きわめて厳しい状況になった。
 言っておくが、オバマ大統領は韓国の朴大統領に対しては、主権国家のリーダーとしての自主性を尊重して、ロシア制裁を「お願い」もしていない。
 そうした中で石破氏が、安倍総理とどういう距離を置こうとしているのかによっては、今後の政局を左右しかねない事態になる可能性が生じた。
 もともと、前総裁選において党員投票で石破氏は安倍氏に勝っている。総理大臣は衆参両院議員選挙で選出されるわけだから、自民党の総理大臣候補は党の衆参両院議員総会で選出されてもいいが、党のトップである総裁は党員選挙で選出されるのが民主的な組織の在り方だろう。必ずしも総裁が総理大臣候補に自動的にならなければならないというわけでもなかろう。
 大方のメディアの読みとしては、ポスト安倍氏の第1人者として不動の地位
を固めたい石破氏が、党の重職である幹事長の椅子にこだわっているという。
 自民党幹事長のポストの重さは、選挙活動を指揮することにあるとされてい
る。立候補者の公認権を持ち、党財政も管理しているため、公認と資金両面から党内で絶大な権力を持つとされている。だから、前総裁選では党所属議員の支持によって逆転勝利を収めた安倍氏だが、次期総選挙で石破氏が選挙指揮権を振るうと、議員基盤も危うくなると安倍氏は考えているのかもしれない。
 が、実はすでに安倍氏はそのための手も打っていた。その手が前出の河村氏である。
 河村氏は1990年、旧山口1区から初当選し(中選挙区時代)、以降7回連続当選している。2003年には小泉内閣で2か月だけ文科相として初入閣し、08年には麻生内閣で1年間官房長官を務めている。そこそこのキャリアではあるが、影は薄い。政治家としては、知名度も「抜群に」低い。メディアでの露出度がほとんどゼロだからだ。
 その河村氏がなぜキーマンになるのか。実は安倍第2次内閣誕生時に、河村氏は総裁直属の選挙対策委員会の委員長に就任し、党3役(幹事長・総務会長・政調会長)と同格の党4役になっていたのだ。
 この選挙対策委員長という役職は、2007年に発足した福田康夫内閣が初めて新設し、選挙の指揮権を幹事長から移したという経緯がある。が、2年後の総選挙で自民が大敗して下野した責任をとって福田総裁が退任した後、選挙対策委員会はいったん消滅し、選挙指揮は再び幹事長が担うことになった。
 党員選挙で石破氏に負けた安倍氏は、両院議員選挙で逆転して総裁になったものの、党内での支持を集めた石破氏を無視できず、とりあえず党内ナンバー2の幹事長職に就けることにしたが、選挙指揮権を石破幹事長から奪うために党4役としての選挙対策委員長職を再び設けて河村氏を抜擢したというわけだ。
 が、党内での実力が伴わない河村氏を名目上の選挙指揮者にしても、石破氏が幹事長の椅子に座っている限り、河村氏は選挙指揮権を発動できない。安倍氏が石破氏を幹事長から外して安保相就任を要請したのは、そのためだ。
 私には、安倍氏と石破氏の安全保障についての考え方の違いがまだ分からないが、安倍氏が違いに気付かず石破氏に安保相就任を要請したとしたら、総理総裁としてのかなめが問われる。自分がオバマ大統領の言いなりになる人間だから、石破氏もそうだろうと思っていたら、とんだお笑い草だ。