三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 7月24日 紙管角度とドラム選択

2016-07-23 | メンテナンスお気楽日記
先週、ワインダーを納品した客先から「テーパー紙管でも使えますか?」って連絡です。

納品機は58㍉のチーズ紙管仕様として組み付けました。当然、使用ドラムは0°0′です。
3°30′の紙管ならば、糸種を選ぶものの、S方向Z方向どちらにも、それなりの?形には出来ますと答えた。


じっくりと考えれば、カセ仕様やインバーター装置を希望。それにワキシング装置も希望でした。
ワキシング装置がでた時点で「スパン糸」もあると、気づかなければいけなかったのかも知れない。
近隣の、レーヨン糸のカセ染をコーンアップする工場ばかり廻っていたから、思い込みが先にたっていた。


紙管を挟むクレドールは、トップとテールのジスクを交換するだけで、0°0′、3°30′、5°、9°15′と
簡単に改造し、選ぶ事も出来ます。

でも、問題はドラムです。素人目?には、一本の黒い鉄の円筒(茶筒)見えるかもしれないが、
実は、溝の切り方が微妙(極端)にちがうのです。0°の場合は2.5ワインドで均一な糸量となります。

微妙なのは、3°30′で、紙管の太さ(円周)がテールとトップでは当然、差があります。
それを補うために、細い方は、溝の間隔を広くして、糸の巻き量を調整しているのです。

S方向の3°30′ドラムで、Z方向に巻こうと思っても、誤差が倍になり、大変な結果となります。
0°0′ドラムで3°30′紙管の場合は「ごまかし範囲内」?で多少のトップの盛り上がりで収まります。
北陸の委託工場に、0°仕様が多いのも、3種類の紙管客注に対応するためです。

9°15′(三角紙管)の場合は、極端に溝幅が違います。その形状の為だけのドラムが必要です。

ところが、一ノ宮産地の様なスパン糸やニット仕様になると、話が別となります。
糸の特質である「空気含融率」が多いため、トラバース仕様を違えると、巻き玉が大きく変形します。
俗にいう「まんじゅうのアンコ」現象です。巻き玉がつぶれ、糸がはみ出してきます。

中京方面では、この他1,5Wや2,0Wの特殊ドラムを使用している工場もあると聞いている。
ドラムトラバースの利点でもある、構造が簡単・音が静か・高速運転・量産体制にはベストの仕様です。

ただ、弱点はコニカルワインダーの様に、綾幅を調整したり、特に平糸などは対応出来ません。
その為「初期選択」が大切となり、どんな仕事をしたいのか?で、選ぶ一本が決まります。
変更には、それなりの経費も必要となります。メールや電話で客先の仕事を理解するのは難しい。

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メンテお気楽日記 7月23日 中古機情勢 其の?

2016-07-23 | メンテナンスお気楽日記
10年前の「中古価格」が100万の機台が、現状、50万が相場?と言われても、仕方がない。
稼働機関が、30年オーバーの機台しか出ない取引。平成プレートの機台は、マズ出てこない。

この、50万の「設備費」と言っても、経費割合が半分ちかく、掛かっていると見てイイ。
分割・分解・搬出・運搬・搬入・据え付け・組み付け・点検。これに、整備調整費用が掛かる。

中でも「運搬費」は業者委託となり、となり街へ移設するのとはケタが違って来る。
片道300~500㎞となれば、機台の半分?が運搬費。当然、専門業者でなければ出来ない仕事。


と、いう事は、買い取り(仕入れ)価格も、業者自身が情けなくなる様な値段しか付けられません。
正直、処分依頼を受けた場合は、追い銭(処理経費)が必要な状況です。産業廃棄物の扱いです。
イタリー撚糸機の処分には、新聞の鉄鋼相場とにらめっこが続きます。


業者(業界)としても、けっして機台処分はしたくありません。どんなに古くても整備して修理して、
産業維持のために、活用したい。その事でしか、産業の継続も難しいのも現状です。

確か当時の新品機台は4~500万だったと思う。現在の見積もり価格は600万で帰ってきた。
減価償却の話どころではない。政府の産業支援基金がなければとても手が出ない。


じゃ、なぜ?500万の設備投資が出来たか? 仕事があり、儲かったからです。
作れば売れる、売れれば儲かる。そんな時代もあったのです。だから、機台技術も格段に発展した。

裏を返せば、現在の中古機台は、充分働いて来た、仕事をしてき来た機械です。
もう充分に、元は取ったと考えます。そんな機台をまだまだ生かし、次に儲けたい?人にお世話してます。

だから、機台価値と言うより、設備経費のプロデュースが販売店の大切な仕事となります。

ともあれ、売りたい機械情報を、いかに設備希望の顧客との出会いのチャンスを作れるか?です。
これが本当に難しい。すれ違いもしょっちゅうです。棚に飾ってある訳でもない商品ですから。

機械を生かしたい。仕事のカテとしたい。でも、顧客あっての商いでもある。

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メンテお気楽日記 7月21日 集金日の憂うつ。

2016-07-21 | メンテナンスお気楽日記
三筋ワインダーが幡屋や織物工場の「自社設備」として、新規設備?されている話は以前にもしたが、
整経分割や、巻き返し作業を委託していた外注工場が、平均年齢70以上では、当然の結果。

工場もある、機械もある、40才そこそこの息子(娘)もいる。なのに、後継者がいない。廃業です。
当たり前かも知れないが、今の加工賃では生活出来ない。女工さんを雇えば持ち出しになってしまう。

根源は加工賃の下落にある事は、解り過ぎ?てはいるけれど、世界の生産現場を考えれば、商社ばかりを
責めるのも、酷な状況にもある。只、商社の事務所や営業担当に、違和感を感じるのは現場からの感想。


今日は、その商社からの情報です。
商社自身が、撚糸工場の立ち上げに動いている?話が、何軒からも聞こえてきます。

商社自身も危機感を持っていることは解るが、ものづくりは一長一短で出来るハズもありません。
ものづくりは、専門分野ゆえの技術の積み重ねです。ボタンを押せば出来上がることはゼッタイありません。

いくら研修生?を送り込んだとしても、同じ品質を確保できるとは考えない方がいい。
そのことは、品質の低下・納期の遅れを招き、牽いては責任問題も危惧しなければならない。

「餅は餅屋」。スーパーマーケットや量販店の様な販売と、ものづくりは次元が違うのです。


笑い話?が続きます。「新設備に人件費コストを付けると、儲けが出なくなる」・・・???
じゃ、外注さんや外注工場は何だったんダ!儲けを出すための「加工賃」でしかない訳だょネ。

スーツ一着¥9800靴は¥1980。Tシャツならば¥500か?
安値競争に乗ってしまった自分もいるわけなのだが、安い売値からは安い儲けしか出てこない。

頑張って、頑張ってのお買い物。それが喜びでもある。何でも手が届くお買い物はやはりオカシイ。
スーツはやはり¥30000以上。そのことはモノを大切にするという気持ちにもつながると思う。


追伸。ソフトワインダー60錘×7台の工場が廃業を考えています。さて、注文先は・・・

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メンテお気楽日記 7月20日 広いようで、狭い業界?

2016-07-20 | メンテナンスお気楽日記
先週の事です。金沢の紐屋さんから、織機に使用するボビンワインダーの中古情報の依頼がありました。
畑違いとはいえ、三筋ワインダーを設備している織物工場にも出入りは、しています。

さっそく、出入りの工場や、織機を得意?としている機料店にも当たってみましたが、ボビンサイズが
特殊?な為、なかなか「出物」が出てこない。

特に最近の細幅織物は、ドビー織機が主流になり、首振りシャトル?を使用している工場は少ない。
リボン屋さん、テープ屋さん、その業種は限られて来る。金沢の紐屋さんも特殊加工が売り?

もし、運よく中古機見つかったとしても、トラバース幅の改造などにカム交換という大仕事が待っている。
それならば、専門機械メーカーに「その仕事にピッタリ」の機械製作依頼するのが「正解」だと思う。


さいわい、自動管巻き機のメーカーは福井市にある。打ち合わせや説明に要する難はない。
新品機械といっても、何百万もする訳でもない。充分設備費範囲。いや、設備が無ければ生き残れない。

問題は「作ってもらえるか?」と言う事です。管巻き機も、製造工場も、見たり聞いたりしていたが、
実際、自分で手に掛けたり、工場を訪ねたこともありません。客先や機料店からの話だけでした。


で、飛び込み訪問です。ちゃんとした立派な会社です。製作中の機台も何台か並んでいます。
「製作依頼可能」と判断して、さっそくボビンを見てもらいました。ところが、商談室の机に同じボビンが?
入れ違いに、金沢の工場長が来ていたとのこと。急転に場が和み、お互いの情報交換の場となりました。

「三筋ワインダーの小型機を探している会社も紹介しますョ」「ありがとうございます」
「福島県の〇〇さんから探して欲しいと・・」「えっ?福島ですか?多分、直接連絡があったのは・・」
やはり、同じ会社でした。機台(3錘ワインダー)は週明けには発送の段取りでした。

東海の〇〇さんの話も出ました。わざわざ自社の車で北陸の機台を引き取りに・・やる気満々でした。
機台改造などの相談がここにもあったそうです。他にも出入りの会社名がポンポンと・・・


もう、昔?のような会社や業界では「出入りの業者や販売店」は存在しない。
気になる情報や品物には、メール一本電話一本で接触出来る。自分の必要なモノだけをチョイスする。
それが良い事なのか?弊害があるのか?は解らない。

只、会社の事務所や工作室で「モノタロウ」「アマゾン」の箱を見かける事が多くなったのは事実です。

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メンテお気楽日記 7月19日 やわらかい頭

2016-07-20 | メンテナンスお気楽日記
自分から言うのも何だが、ものづくりアイデア(改造・改良)には、ある程度のジフがあった。
相談される事も多く、それが「励み」にすらなっていた。

先月は、石川シュワイダー機のドロッパーガイドのキズ対応が相談された。100錘ちかくの対応だから
やりがいもある。まず、交換部品がメーカーから、手に入らない事からの対策である。

キズ箇所に糸が触れなければ事故は回避できる。当然、アルミナガイドを選択した。
改造が簡単?な半割パイプを探したが、以前あった部品も製造中止との事だった。

次は、パイプ形状から選ぶ。内径・外径・長さと選択条件を絞っていく、メーカーカタログからは
ピッタリのサイズが出てこない。内径がポイントだが、外形(太さ)が違い過ぎる。


Sコンガイドに使われているアルミナパイプがピッタリサイズなことを発見し、製造工房を訪問。
在庫確認して、企業に提案したが、20㍉幅がトラバース幅ギリギリの不安と、操作部のカットで起こる
作業員の手順が気がかりとなる。

Sコン工房に戻り、相談したら、今は作られていない京セラ製パイプを提供された。在庫限りの事。
長さは40㍉あり、何とかキズ回避と操作持ち手として作業出来るので、納品が決まりました。


話はここで終わる事なのだが、その話を別の客先の機台管理方法として話題とした。
ところが、出てきたプランは「ドロッパーのキズの箇所をカットし、20㍉のパイプに両側からドロッパーを
差し込む、そうすれば持ち手もそのままで、アルミナガイドを取り付ける事が出来ないか?」

「・・・・・! 20㍉が使えれば、在庫の心配もないし、何より作業員操作も変わらない。


自分の「頭の固さ」を痛感する。パイプは真っ直ぐだという意識が支配していた様ダ。
若い頃は、一義な工場長に「何で周りが見えないのか・・」なんて思っていた自分が見えていない!

歳のセイでもないだろうが、「こだわり」が出来ているのかもしれない。
他人の仕事だから見える「やわらかい目・やわらかい頭」それも三筋の強みの一つだった筈だが・・・

少々、落ち込んでいます。・・・・

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