迷宮映画館

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玲玲の電影日記

2006年08月15日 | ら行 外国映画
中国北西部の田舎町が舞台。ちょうど文革の真っ最中で、資本主義的なもの、伝統的なもの、個人的なものは徹底的に排除された時代。映画女優を夢見ていた母は、思いがけなく自分を身篭り、その夢を断たれる。父親もわからない子を産んでとさげすまれるが、娘・玲玲の為に強く生きると決意する。

小さな村で何より楽しみに皆が待っているのが野外で上映される映画。その中身は日中戦争を舞台にした国策映画なのだが、村人たちの目は真剣。古い戦争映画が唯一の娯楽だった。だれもが映画を好きなように玲玲も大好きだった。転校してきた毛小兵と仲良くなり、2人で建物の屋上から望遠鏡で映画を見る秘密もあった。

玲玲の幸せは長くは続かない。母が映画技師と再婚を決めたあたりから、なんだか歯車がずれてくる。母の愛情は新しく生まれた弟に移り、自分は段々と置いてけぼりにされたような気になってくる。そして悲劇が・・・。

という中国版「ニュー・シネマ・パラダイス」と謳った作品だが、野外劇場の雰囲気やら、技師と子供たちのやりとり、フィルムに込められた愛情などはよく描かれていた。しかし、どうもつじつまが合わないのが見る気を削いでいく。

冒頭の北京で水売りをする青年、レンガで殴った女性はどう見ても現代風の20代前半の人たち。文革の時代は1970年代。どう考えても計算が合わない。文革から10年あまりでああはなってないでしょう。玲玲の母と技師が結婚するとき、「村一番の金持ち!」とそやされるが、なぜ?耳が聞こえなくなるのはやむをえないとしても、いままで話せていたのに、なぜしゃべれなくなる?

泣かせるツボがいくつかあるが、子供の演技におぶさりすぎの感がどうしても否めない。そこまでの流れがあまりにももたもたしすぎている。脚本の稚拙さが映画全体のバランスを崩している。ファンタジーにしてしまうにはあまりにむごく、それでも最後に符号させればいいだろう、というような少々甘い作りが最後まで見る集中力を散らしていく。映画でも本でも構成の緻密さは絶対に不可欠のもの。うぅーーーん、もうちょっと勉強しなおして作ってくれ!と言いたくなった作品。


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