病院でお産の最中の苦しそうな声が聞こえる。苦しんで、苦しんで、おぎゃー(イランでもきっとおぎゃーだと思う)と生まれたのは女の子。それを聞いた付き添いの母は、「超音波では男と言われた」「女の子では困るのだ」と看護婦に詰め寄る。男でなければ嫁ぎ先を追い出される。途方にくれた母は病院を抜け出すときに、ふとすれ違った3人の女性。
なぜか、あせっている。警察の目を気にし、誰かを探している。一人が連行されてしまった、二人は逃げる。どうやら、故郷に帰ろうとしているようだが、女性の一人旅など、出来ないのがこの国。身分証かパスポートがなければ、何も出来ない。どこにも行けない。
妊娠中の女性。しかし、父親が死んでしまい、堕胎したいが、どうにもならない。貧しさゆえに子供を捨てなければならない母。そして、悟りを開いたようなまなざしの娼婦。彼女らが行き着いた先は刑務所。しかし、外に出ても、そこは檻の中と同じだ。
ヴェネチアで、金獅子賞を取った作品。しかし、未だ本国では上映できないといういわくつきの映画だ。さまざまな女性達のほんの半日の、それも、それぞれのエピソードは非常に短い。わずかな邂逅が次の話の女性にバトンタッチしていく、一種のオムニバス映画になっている。その手法の素晴らしさはもとより、どの女性も強い。これほど生きにくいところで、何とかして生きていこうとする。刑務所から仮釈放された身分だったり、脱獄してきたような女性達なのだが、どんな罪で刑務所に入ってしまったのか、などということは関係ない。女性である、ということがすでに罪なのだということかもしれない。
刑務所に入るような女は恥だ。しかし、出てきても安住の地などない。男を産まなければいっちょ前と見てくれない。じゃあ、生まれた女の子はどうすればいいのだ。男たちよ、お前様たちは誰から産まれたのか。人前で煙草吸う女なぞ、みっともなくて仕様がない。(男も女も煙草はやめましょう)煙草は男だけのものなのか・・・。ほんのちょっと前の日本だ、これは。いや、未だにそういうところもある。しかし、女は生きてきた。どんな境遇でも、どんな目にあっても、子供を産み、育て、生き抜いてきた。
世界中の女たちよ、頑張れ。何も出来ない私はこうやって、応援するしかない。男のようになれなどとは言わない。あんなものにならなくていい。歩き煙草できるのがいいことでは決してない。女は女でいい。人間らしく生きたい。
「チャドルと生きる」
英題「The Circle」
監督 ジャファル・パナヒ
出演 フレシテ・ザドル・オラファイ マルヤム・パルウィン・アルマニ 2000年 イラン映画
なぜか、あせっている。警察の目を気にし、誰かを探している。一人が連行されてしまった、二人は逃げる。どうやら、故郷に帰ろうとしているようだが、女性の一人旅など、出来ないのがこの国。身分証かパスポートがなければ、何も出来ない。どこにも行けない。
妊娠中の女性。しかし、父親が死んでしまい、堕胎したいが、どうにもならない。貧しさゆえに子供を捨てなければならない母。そして、悟りを開いたようなまなざしの娼婦。彼女らが行き着いた先は刑務所。しかし、外に出ても、そこは檻の中と同じだ。
ヴェネチアで、金獅子賞を取った作品。しかし、未だ本国では上映できないといういわくつきの映画だ。さまざまな女性達のほんの半日の、それも、それぞれのエピソードは非常に短い。わずかな邂逅が次の話の女性にバトンタッチしていく、一種のオムニバス映画になっている。その手法の素晴らしさはもとより、どの女性も強い。これほど生きにくいところで、何とかして生きていこうとする。刑務所から仮釈放された身分だったり、脱獄してきたような女性達なのだが、どんな罪で刑務所に入ってしまったのか、などということは関係ない。女性である、ということがすでに罪なのだということかもしれない。
刑務所に入るような女は恥だ。しかし、出てきても安住の地などない。男を産まなければいっちょ前と見てくれない。じゃあ、生まれた女の子はどうすればいいのだ。男たちよ、お前様たちは誰から産まれたのか。人前で煙草吸う女なぞ、みっともなくて仕様がない。(男も女も煙草はやめましょう)煙草は男だけのものなのか・・・。ほんのちょっと前の日本だ、これは。いや、未だにそういうところもある。しかし、女は生きてきた。どんな境遇でも、どんな目にあっても、子供を産み、育て、生き抜いてきた。
世界中の女たちよ、頑張れ。何も出来ない私はこうやって、応援するしかない。男のようになれなどとは言わない。あんなものにならなくていい。歩き煙草できるのがいいことでは決してない。女は女でいい。人間らしく生きたい。
「チャドルと生きる」
英題「The Circle」
監督 ジャファル・パナヒ
出演 フレシテ・ザドル・オラファイ マルヤム・パルウィン・アルマニ 2000年 イラン映画
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