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第439回 ポイント貯めて海外留学? 英語弁講座34

2021-09-17 | エッセイ

 今回は、語学習得の手段として人気がある海外留学を取り上げます。英語弁講座とはいえ、横文字は出てきませんので、ひとつの話題として気軽にお付き合いください。

 少子化が進む中、学生の確保が、何よりの「経営」課題だという大学が多いと聞きます。そういう経営努力の一環なのでしょう、大学の魅力をアピールし、学生のモチベーションを高めるため、「ポイント制」を導入した大学がある、というのを、少し前にラジオで聞きました。優、良などの成績をポイント化し、累積獲得ポイントに応じて、いろいろ特典を与えようというものです。
 で、最高のご褒美が、「海外留学」なんですね。昔は、トリスを飲んでハワイへ行こう、でしたが、今は、ポイント貯めて留学しようというわけです。海外留学などとは、まったく無縁で、自堕落な学生生活を送ってきた私なんかから見ると、だいぶハードルが低くなったみたいですが、いろいろ問題もあるようです。

 「本物の英語力」(鳥飼玖美子 講談社現代新書)を参考に、そのあたりを、アメリカを例に、探ってみます。現在も幅広くご活躍の著者・鳥飼さんです。

 海外留学というと、1年とかそれ以上の期間、様々な目的を持って、じっくりと研究に取り組むというイメージがあります。実際、多くの英語圏の大学がそのための制度や仕組みを用意しています。

 一方で、それらの大学の中には、夏休みに教育施設を遊ばせておいても仕方がないので、「語学に特化し」、「夏休みだけの短期型で」、「内容的には研修」、のようなコースを設けているところも多いといいます。さきほどのポイントのご褒美も、「留学」とはいえ(おそらく)この種のものでしょう。
 
 で、この種の研修の場合、現地の学生や留学生と交流しようと思っても、夏休みで、キャンパスは閑散。授業といっても、ほとんどの場合、生徒は日本人だけ。授業が終われば、日本人同士で集まって、うろうろしてるだけ、ということも多いとのこと。なぜ、日本人だけの授業になるのでしょうか?

 鳥飼が引率したグループで、受け入れ先の研修担当に、海外の留学生グループなどとの交流を申し入れると、「日本人はおとなしくて、無口だから、他国の人たちと一緒にすると、黙って聞いてるだけで授業が終わってしまう。だから、日本人だけまとめて教えたほうがいい」(同書から)と一蹴されたというのです。
 人前で恥をかくことをなにより恐れる日本人て多いですから、さもありなんと思います(私もエラソーなことは言えないのですが)。

 また、オーストラリアのある都市では、「インターンシップを組み込んだ英会話研修」というのを実施しています。で、どんなインターンシップかと言うと、市内のカフェで、接客を学ぶというもの。う~ん、日本に帰ってきて、スタバでアルバイトでもするなら、役に立つかも知れませんが・・・・

 今は、「国内」でも「自宅」でも、(「駅前」はどうか分かりませんが)語学を身につけられる環境、ツールは、ネットなども含めて、いろいろ整っています。

 海外留学もひとつの手段ですが、いろいろ工夫して、恥をかくことを恐れず取り組むのが、上達の秘訣ではないでしょうか。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。