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第335回 東京五輪の「非注目」種目

2019-09-06 | エッセイ

 時々出かける自宅近くのスタンドバーのおネエちゃんが、オリンピックの「入場式」の熱烈なファンだというのが分かりました。
「私ね、「入場式」だけは必ず見るの。知らない国とかいっぱい出てくるでしょ」
「リヒテンシュタインとか?」
「そうそう。そんな国が入場してきたら、一体どこにあるんだよとかって、その場で地図帳広げて調べるの」
「へえ~、変わった楽しみ方だねぇ。で、競技の方には興味ないの?」
「全然!見るのは入場式だけ(きっぱり)!」

 そこまで極端ではありませんが、私も、オリンピックそのものにあまり関心がないクチ。たまたま、日本が強そうな競技をテレビでやってて、他にすることがなければ見るかな~、という程度のファンです。ネットでのチケット購入騒動も、横目でクールに見ている「へそ曲がり」ですので、あまり「注目されてない」(と、私が独断で決めた)競技の「見どころ」を、大会組織委員会のサイトも参考に、ご案内しようと思います。

<オープン・ウォーター・スイミング>
 水泳競技の一種目です。お台場海浜公園沖に設けられた外洋のコースで、男女とも10kmのレースを争います。小さい頃、泳ぐといえば、海とか河に決まってましたから、水泳の原点とも言えるワイルドな競技で、それなりの意義はありそうです。

 ただし、選手ではなく、主催者団体が戦わねばならない相手が2つあります。
 一つは水温です。陸上のマラソンに匹敵する過酷な競技ですから、上限が31度と決められています。この8月のテスト大会では、午前5時での水温が、29.9度とのことでしたから、ぎりぎりセーフ。でも厳しいです。一応、男子が午前7時、女子は2分遅れのスタートとなっていますが、更なる繰上げもありうるとのことで、選手も、観客も大変です。

 もう一つは、大腸菌です。同じく今年8月のトライアスロンのテスト大会では、大腸菌の数字が、国際水連の定めた基準の2倍あったため、スイムは中止、2種目だけの競技になりました。大会中は、水質を改善するための膜を、沖合に3重に張るというんですが、付け焼刃的で、こちらもクリアするのは、なかなか厳しそう。
 というわけで、競技が行われるかどうかが、この種目の一番の「注目ポイント」ですかね。

<サーフィン>
 昔はナンパのツールだった、とのイメージ(あくまでイメージですが)を抱いている私みたいなオジさんは、「サーフィン」がオリンピック種目と聞いて、「感慨」や時代の流れを覚えます。

 まずもって、波という自然が相手です。「同じ波は2つとない。いかにいい波をつかむか、刻々と変化する波にどのタイミングで乗るかが重要になる。自然の中で運を味方につけながら戦うスポーツがサーフィンなのだ。」(同サイトから)とすごいことが書いてあります。運任せの要素に加えて、(常々私が疑問を感じている)採点競技です。果たして五輪の競技にふさわしいのかなぁ、というのが素朴な疑問。

 男女各20人が、決められた時間内に、10本前後のライディング(波乗り)を行い、技の種類や難易度、スピード、パワーなどをジャッジが採点し、高い2本の合計得点で勝敗を決する仕組みです。
 ひとつの波に乗れるのは、ひとりだけです。崩れる直前の波の頂上をピークというんだそうですが、そのピークに一番近い選手にその波に乗る「優先権」があります。

 ただし、「波に乗らないふりして乗ったり、パドリングを開始するふりをして実際はいかなかったりすることで、他の選手を翻弄することもある。」(同サイトから)とあります。「駆け引き」もありということなのでしょうが。スポーツマンシップとの兼ね合いはどうなんでしょう。
 「技」とか「テクニック」というと堅苦しいので、「芸」を楽しむ・・・そんな余裕での観戦がオススメです。

<スポーツクライミング>
 人工の壁に設けられたホールド(突起)を利用して、素手とクライミングシューズだけで、スピード、到達の高さなどを競う競技です。同サイトから画像を借用しました。


 「スピード」、「ボルダリング」、「リード」の3種目がありますが、何といっても注目は、「スピード」ですね。

 高さ15メートルの壁を登るタイムを競うのですが、他の種目と違って、ルートの設定は世界共通の固定です。ですから、いくらでも、事前の練習ができます。

 なので、優勝タイムは、男子で5~6秒、女子で7~8秒という早さ。陸上の100メートル走よりも早く決着がつくというスゴさです。早い決着が好みの、せっかちな人は、要注目かも。

 と、あまり注目されそうもない3競技を案内してきましたが、いかがですか?
 選手・観客への暑さと熱中症対策、競技施設の完成具合、ボランティアも含めた運営体制などなど、競技よりも、その周辺のことが何かと「注目」「話題」を集める大会になるような予感がしています。

 それでは次回をお楽しみに。