八ヶ岳の中山尾根は、2年前から登りたかったルートです。今回、取り付くことはできましたが、いろいろあって途中で引き返すことになりました。
中山尾根、写真では後の主稜線(スカイライン)と重なっているのでわかりにくいですが、樹林帯~ナイフエッジ~下部岸壁~雪壁~上部岩壁と変化する人気ルートです。
- 2年前は、「あそこは難しいからまだ無理だ」と先輩に言われ
- 1年前は、南沢のアプローチのラッセルがとんでもなく、最高到達地点はなんと行者小屋
- 今年は、赤岳鉱泉からじっくり時間をかけて登ろうと思っていたのですが、、、、、
今回、初日にMさん6時間行方不明で赤岳鉱泉に入れず登山口の赤岳山荘で宿泊。仕方がないので2日目の3月7日は、登山口から一気に中山尾根を目指しました。天候は、前日までとは打って変わり、すばらしい晴天でした。
中山尾根の第一関門「下部岩壁」の取り付きに着いたのはAM11時でした、なんとコースタイムの2倍の時間がかかりました。
一方、この日に合流したエドヤマさんは単独で阿弥陀に向かい、彼と赤岳鉱泉にPM3時に戻ることを約束していました。次の日、大同心大滝を登るため、赤岳鉱泉の人工氷瀑「アイスキャンディ」でどうしてもアイスクライミングの練習が必要でした。
下部岩壁手前のわたし 下部岩壁全貌 (いずれもMさん撮影)
そんな時間的な余裕がない中でも、下部岩壁の取り付きからラッシュすればぎりぎり間に合うかとも思ったのですが、現実はそんなに甘くありませんでした。
ルートとなる凹角は昨日までの悪天候でやわらかい雪がべったり付着、雪を丁寧に払いホールドと残置ハーケンを探し出しながら登らなければならない状態でした。最初の10mは、いくら探しても残置ハーケンが見つからず、さらにカムを設置するクラックも見つけられず、遂に怖くてハーケンを打ってランニングビレーを取りました。
下部岩壁1ピッチ目をリードするわたし(Mさん撮影)
下部岩壁を越え、2ピッチ目のトラーバースから雪壁を登るMさん
天気は良いけど、まさに厳冬期のクライミングみたいでした。Ⅲ+というグレードのはずが、この雪の付着でとても怖くて、上部岩壁に向かう雪壁まで抜ける2ピッチだけでなんと1時間もかかってしまいました。
これでは、赤岳鉱泉にPM3時に戻ることは到底不可能、Ⅳ+の上部岩壁も残っているので突っ込んだら下山は夜間行動になってしまうかも。加えて登山口から一気に登ったことと取り付きまでのラッセルの疲れもあり、この地点で諦めて、懸垂下降をして引き返すことにしました。
3月の晴天でも、悪天候の後は、ラッセルと雪の付着した壁がルートのグレードを極端に上げることを思い知らされました。長いブランクがこんな当たり前のことをすっかり忘れさせていました。
やはり、既定どおり赤岳鉱泉を早朝に出て十分時間を取り、余裕を持って登るしかないです。悔しいけど、来年またチャレンジすることにします。
※今回下部岩壁は薄手のブレスサーモの手袋で登ったのですが、壁の雪払いでびしょ濡れ、冷たくて辛かったです。こんな時は防水性の手袋が必須、岩登りに適した防水性を見つけなくては。