ガガンボはずっとゴーヤで休んだまま
日は暮れた
それで良い
と思う
世界が暗くなって丁度良い
そろそろ明日の本番のおさらいをしよう
本番のおさらいをするってことは
イマジネーションの中で一回本番をやるってこと
だから音に集中するために
視界から入るものを意識の外に出すことから始める
身体を脱力し
警戒心を解き
目を細め
視界から入る刺激をぼやかす
本番の演奏状態と近い状態に身を置き
作業前に済ませておくべくトイレに行くと
磨りガラス越の街灯の灯が
風に揺れる樹の葉によってチラチラ動いていた
この風景はもう
僕にとってはもう
半分以上観念の風景となっている
チラチラ揺れる灯は
命を宿した者となって僕に何かを語りかけて来る
僕の鎮やかで孤独な音楽時間は
観念世界の者たちとの会話で結構賑やかだ