この世界は
螺旋で出来ている
ヒトゲノムから全宇宙までを
蔓1本で体現しているこのミニキュウリは
一晩経ってやっと可愛い蔓を紐に巻き付かせた
そういえば...
この紐も螺旋だ…
我々の頭の中も螺旋
心も螺旋
そういう風に考えるだけで
今まで信じていた直線的な固定観念とは
全く違う風景が観えてくる
ゴーヤの一郎の葉はもうこのくらいになった
このゴーヤ兄弟たちも
もう少しすると螺旋の蔓を出し
身近なものに掴まりながら光に向かって伸びて行くだろう
我々も身近な存在に寄り添いながら光の方へと進むだけ
螺旋の示す方角へ行けば間違いは無い
今日は風がある
暖かい風が吹いている
明日のカナフの仕込をするべく机に座ったが
自分のギターの音は横へ置いてしまい
ずっと風の音を聞いている
今日の風は新緑の葉を揺らしながら
北から南へ流れたりその逆に吹いたりしている
風はいつも山で生まれ
その透明な気は
僕の居る所へ吹き下ろされて来る
雲も山で生まれ
街の方へと押し流されて行く
科学的な視点はともかく
僕の主観にはそう感じられている
そしてそこには必ず循環が存在している
循環の中に身を置いていれば
勝手に僕のエネルギーは満たされ
恐れは浄化されて行く
窓の外の樹の太めの枝同士が風で擦れ合い
ギシギシ軋む音を立てている
それが樹の喋る声に聞こえる
正午の光が真上から降り注ぎ
ツツジの一部分が輝いている
この真っすぐに降り注いだ光は
カンダタを救うために天国から降ろされたクモの糸なのだ
窓の外は
5月の光と
視界いっぱいに埋め尽くされた若葉色と
そして風のストーリーで
賑やかに
そして穏やかに
今を描いている
僕のギターなど
これらの前には
ただのノイズでしかない