Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

bgmer:2 と bgmer後記

2012-11-08 | 過去のスケジュール記録

2012/11/14(水)

bgmer:2

Cafe black A


Cafe black AにBGMを奏でに行きます


演奏時間
13:00くらいから

15:30くらいから
それぞれ30分ちょっとくらいかな...と予定しています


通常のCafeの飲食代のみで
ミュージックチャージはありません



詳細はもう少ししたらblack AのHPにもアップされますので



。。。。。。。。。。。。。




「bgmer」
っていうのは
どういうふうに発音するのか解らないけど
「BGMを奏でる人」という意味で
僕が勝手に作った造語です

なんて発音するのかな...



こうして文字で打ってるうちはいいけど

実際にお会いした人との会話に「bgmer」が出て来たら
何て発音しましょうか...


ぶぐまー  ?

びじまー   ??


どっちにしても滑稽な響きですが



さて
昨日、11/7(水)にCafe blackAで
このbgmerの第一回をやらせていただきました


演奏時間は12時から15時の間に休みながら
という告知をさせていただいてたのですが

12時から17時の閉店間際まで
ほぼぶっ続けで弾いてしまった
また(ある意味)やっちゃった僕
(多分、正味4時間くらい弾いてたのではないかと思われます)

何度も話題に出していますが
solo live の何回目かの時
本職でもないのに1時間も朗読しちゃったのと同じようなモードだったのかもなぁ...



でもこんなに長い時間
人前で演奏し続けてことって今まで無いので
昨日感じたことなど、ちょっと(実はそうとう長く)書き残しておきたいと思います




11時にお店に入り
演奏に心配性の僕は
自分が音に入り込める環境を整えてるうちに
(スピーカーを動かしたり音量の設定を調性したり指慣らしをしてるうちに)
すぐ開店時間

blackAの扉は開放されていて外の光が心地良い眩しさでした


気温が低い季節なので指先がなかなか温まらないので
なんとなくウォーミングアップしながら過ごしてるうちに
気付いたら顔見知りの方のお顔がひとつふたつ...

そして時間は12時

平日なのに聴きに来てくださったのだな
と感謝に包まれながら
その方達とほんの少し会話を交わしながら
のんびり演奏に入ってゆきました


扉が開いてるからかなかなか指が温まらないけど
いつもならそこに神経質になるのですが
僕もゆったり構えていたように思います



そこから閉店までは5時間あります

その時間の間に僕がシラフに戻ったのは
10回あったかどうか


知っているお顔が目に入って少しご挨拶した時

それと15時を過ぎて一度トイレ休憩した時


こういった時以外は
ずっと演奏に没頭していました



面白いんですよ

ネックや譜面を見るともなしに見ながら
少し俯きがちに演奏してると
額の辺りで店内の様子を感じるんです

お客様が帰る時に席を立たれたことが視界に入るっていうより
気配で感じるんですよね


bgmですから当たり前なんだけど
僕の出す音は小さめで
それを壊さないように静かな動きで帰って行かれる

そのお心使いが嬉しいし
また、その穏やかな雰囲気から僕も安心をもらえるし

なので心の中でご挨拶するんです
「どうもありがとう、またね」っていう感じに

そして心の中に感謝が生まれると
演奏が明らかに変化します
もちろん温かい方向へと




逆に新しいお客様が入って来られた気配を感じると
どんな人かな...と
ほんの少し構える(怯える)心が生まれるみたいです

でも演奏をしている以上
心を閉じてしまうわけにいかないから...
閉じた心で奏でた音は、耳から入って
相手の心にまで届き、その場所を傷つける刃物にもなりますから

だから...なんといいますか
一生懸命に自分の心がそれ以上怯えないように演奏に没頭するんです


こういう時の僕は
演奏を現実逃避に使ってるな、と思います
そしてそれもまた悪いことではないよな、と思います


怯えてささくれた自分の刺が
現実での相手へもささくれ立たせてしまうより
束の間、現実逃避して
自分の心が安心や安定を取り戻してから再度現実に戻る

その方が大抵上手くいく


人間も動物だから
防衛本能があるわけだから
告知をご覧になって来られたお客様でも
僕という人間をよく知らなければ
まずは防衛本能が働くわけですよね


演奏で開いた無防備のアンテナには
その防衛本能がピリピリ伝わって来るみたいです

双方が発する防衛本能での微妙な衝突から
僕の演奏の波長に乱れが生まれる

演奏の乱れは演奏家である僕を自己嫌悪に陥らせるから
現実逃避してでも演奏に没頭して
音に乗せて放つもののクオリティを下げないように必死になる

そんな風にしているとタイムスリップしたように数十分過ぎている

そして気付いて、今
この店に居るお客様がそれぞれに
落ち着ける場所と
落ちついて過ごせる形を見付けて
思い思いに過ごしてる気配が伝わって来る

ようやく怯えた僕の心も安心して
今度は演奏で攻めることを始めるんです

正確なプレイだけでは人様の心を掴めない

こちらの演奏の表情が動くことによって
始めて聴き手はこちらに気付いてくれるようにいつも感じます


なので僕は自分の演奏の表情を最大限にして攻め始めます


もう既に何時間も演奏し続けているので
1時間半分くらい用意した曲は
何回り目かのループ演奏になっている状態の中で
表情を最大限にしながら



この挑戦この勝負もとても面白いんです


もう何回り目かの演奏なわけですから
ずっといらっしゃるお客様にとっては
「さっきも聴いた曲だ」って思わせちゃう

でも演奏に盛り込む表情によって
同じ曲でも全く違ったものになるものですから
僕には
聴き手から飽きられるか
更に聴き手の心を掴めるか
という真剣勝負が課せられるわけです


強く弾いた一塊のフレーズの
すぐ次のフレーズをピアニシモで弾いてみたりしながら
勝負を始めてみる

強く弾いたのは
こんな悲しいすすり泣きの嗚咽が
一瞬大きく漏れてしまっただけなんです

ギターで歌ってみたりする


小さな声でずっと会話をなさっていたお客様の声が
ちょっとの間、途絶える...

その瞬間に
僕の音が深く入ったことを僕はもうわかってる
(僕は確信犯なので)


一瞬でも誰かの心の深い部分に、自分の音、心が届く
こんな幸せなことがあるだろうか
と感じます


そういう時は僕はとても開放されて
この空間に居る誰もと繋がれている感覚に包まれている

この時間が永遠に続いたら良いのに、と思うけど
やはり集中力は減衰してゆき
ミスタッチやミストーンが出始めると
僕はこの天国から現実に引き戻されるのです


ジュースを一口飲んで血糖値を上げて
チューニングをして
気持ちをリセットしてまた次の曲にとりかかる

イントロはとても良い表情で
1コーラスはまずまずで
2コーラスくらいになるとタッチが浅くなってくる

もう弾くための筋肉が疲れてるんだろうな
そろそろ休憩した方がいいんだろうな
だけど、今、すぐ目の前に見え隠れしている幸せの音場を
途切れさせたくなくて
いつまでも休憩に入れない


時々、救急車のサイレンや加速する車のエンジン音が
驚くほど大きく耳に入って来ます

僕は演奏しながら神経がビックリして
一瞬現実に引き戻される

僕等はこんなに沢山のノイズの中で生活してるんだな、と
改めて思いながらまた演奏に没頭してゆく


チューニングの時に、ちょっと扉の外の光を見ると
テラス席のお客様が日向ボッコしながら
聴くともなしに聴いているような横顔が目に入る


お店のスタッフさんが
「そろそろ休憩なさっては?」と声をかけてくださる

頷いて
結局、やめずにずっとその先も弾いてしまう


一度、15時過ぎだったかに演奏をやめて
予定の15時もまわったので
これで終わりにしようとトイレに行ったり
お客様と少しお話させていただいたり

じゃ、終わるのにあたって
最後に1曲だけ
自分の一番得意な曲を
なんて言ってムーンリバーを弾きました

弾き終わったら
もう次の曲のイントロを弾いてる自分がいまして
そこからまた延々弾き続けて

次ぎに現実に戻った時は
「そろそろお店のクローズの時間なんで」
というスタッフさんからの声でした



夢と現を行き来する、なんと5時間を
ようやく終了


こんな無謀なペース配分も初回ならではなのかもしれませんが
僕はこの5時間、本当に生きてる感覚の中で過ごさせていただきました


次回はお店からのアドバイスに従い
13時くらいからと15時半くらいから
それぞれ30分ちょっとの演奏にしようということになりましたが
そういう演奏時間からまた
今回とは違うどんな別の空間が生まれるのか楽しみです



このbgmer企画は
開店から2年目に入るblackAとしても
僕のライブとしても新しい展開を模索しているものです

blackAのご近所のお客様にも
演奏を認知していただけたらという意味もありますし

ずっと先までの構想は決ってはいませんが
一回一回の手応えを活かしながら
音楽と空間の一番心地良い形を模索してゆく過程だと思っています





今回この木のテーブルが入りました
写真で見るよりだいぶ大きいんです
木の物ってやはり落ちつきます
ギターも木だし


blackAさんは
僕の音楽を放任主義に自由にやらせてくださってますが
なんとなく僕に求めるビジョンはあるみたいです


自分で気付かない部分を引出していただきながら
僕ももっと面白い表現者になってゆけたらと思います




p.s


bgmer前夜に
あきのりくんが急に
Cafeを彩る花を沢山持って来てくれたのだと
当日、スタッフの和泉ちゃんから聞きました

当日、僕の演奏する横には
黄色のバラの大きな花束が置かれていました

あきのりくん、和泉ちゃん、blackAさん
どうもありがとう

一言、御礼を








コメント (4)
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