脳梗塞のタイプは3つ...「危険な原因」を知って、「予防」の ための7つのポイントを実践しよう 2022/01/16
突然、倒れて命を失う。助かっても寝たきりになることも...そうならないためには、どうすればいいのでしょうか? IMSグループ横浜新都市脳神経外科病院院長の森本将史(もりもと・まさふみ)先生に、「脳梗塞の原因と予防のポイント」についてお聞きしました。
脳梗塞には3つのタイプがあります。
一つめは生活習慣病がおもな原因の「アテローム血栓性脳梗塞」、二つめは老化が原因の「ラクナ脳梗塞」、三つめは不整脈が原因の「心原性脳梗塞」です。
どのタイプの脳梗塞も、生活習慣の改善や持病を治療することで、脳梗塞の発症を防げる可能性が高くなります。
「アテローム血栓性脳梗塞は生活習慣病と深い関係があります。特に動脈硬化につながる高血圧、糖尿病、脂質異常症がある人は要注意。脳の血管が詰まりやすいので、脳梗塞を引き起こす可能性が高いのです。また、心原性脳梗塞は、不整脈の一つである心房細動が原因です。健康診断で生活習慣病や不整脈を指摘されても『すぐに命にかかわらないから大丈夫』と放っておく人もいるでしょう。それが、脳梗塞の発症につながります。ラクナ脳梗塞は脳の老化現象といえますが、ストレス、喫煙や過度の飲酒などで進行を早める可能性があります」(森本先生)
脳梗塞3つのタイプ
アテローム血栓性脳梗塞
脳内の比較的太い血管が詰まって起こる脳梗塞です。
"アテローム"とは、粥状硬化という意味で、動脈硬化で起こる血管の状態のこと。
前触れ発作(TIA)が出やすい脳梗塞で、TIAがあった人のうち、約30%が5年以内に脳梗塞を起こすという報告もあります。
前触れに気付くことが発症の予防に。
【原因】
高血圧や脂質異常症、糖尿病など、動脈硬化の危険因子を多く持っている人に起こりやすいので、生活習慣の改善が急がれます。
ラクナ脳梗塞
脳内の細い血管が詰まって起こる、直径15mm以下の小さな脳梗塞のこと。
手足のしびれ程度の軽度の症状か無症状のため、気付かないこともよくあります。
小さな梗塞を繰り返すうちに脳の機能が低下し、物忘れなどの症状が少しずつ進行して認知症を引き起こすこともあります。
【原因】
年齢を重ねると血管の老化が進みます。さらに喫煙や大量の飲酒など、不摂生は血管の老化を早めるので、注意しましょう。
心原性脳梗塞
心臓から流れてきた血栓によって、脳の太い血管が詰まる脳梗塞です。
その血栓が大きいため脳の広い範囲にダメージを受けて重症になりやすいのが特徴。
心臓で血栓ができる理由は不整脈の一つである心房細動によるもの。
特に前触れはなく突然発作の症状が現れ、亡くなる危険性が非常に高く、後遺症も重いので要注意です。
【原因】
不整脈の一つである心房細動が関係しています。該当する人は心房細動を抑える薬や治療などの検討を。睡眠不足や高血圧もリスクが大きいので要注意。
脳梗塞予防7つのポイント
1.血圧に注意
高血圧は動脈硬化を進行させ、血流が悪くなることで血栓が詰まりやすくなり、脳梗塞のリスクに。脳卒中を起こしたことのある人は上が110〜130㎜Hg程度、ない人は140㎜Hg以下で安定させて。
2.LDLコレステロールと中性脂肪に気を付ける
LDL(悪玉)コレステロールが多く、HDL(善玉)コレステロールが少ないと動脈硬化が進みやすくなることが分かっています。中性脂肪の数値が高い人も同様です。家族に高コレステロールの人がいるなら要注意。
3.不整脈を放っておかない
健康診断で不整脈を指摘されたら、精密検査を受けましょう。動悸、息切れ、脈が飛ぶなどの自覚症状を感じた場合は、かかりつけ医に相談してみてください。
【心房細動で脳梗塞が起こるしくみ】
心房細動で心臓のあちこちに異常な電気信号が発生すると、血流が不規則になってよどみ、かたまりになります。これがある日突然、血液といっしょに脳血管に運ばれて脳梗塞になります。
4.水分補給をする
体内の水分量が足りなくなると血液がネバネバし、血管が詰まりやすくなります。夏場は特に注意が必要です。1日500ml〜1Lほどを目安に、喉が渇いたと感じる前に少しずつ飲みましょう。
5.バランスの良い食事を心がける
糖質・脂質の多い食事に偏りがちな人は、動脈硬化を引き起こしやすいので、野菜・魚を積極的に食べましょう。食べ過ぎにも注意して適正体重を保つと、血圧も安定し、脳梗塞のリスクを減らせます。
6.適度に運動をする
運動はコレステロールや脂質を減らし、血流を良くするのに効果的です。ジムに通ったりしなくても、エレベーターの代わりに階段を使ったり、移動は徒歩にするなどで運動不足は解消できます。
7.ストレスをため込まない
過度のストレスは血圧や脈拍を上昇させ、血管を傷つけて動脈硬化を招きます。疲れを感じたら深呼吸やストレッチをしましょう。副交感神経の働きが良くなり、血圧も降下します。
取材・文/石井信子 イラスト/ノグチユミコ
脳梗塞には3つのタイプがあります。
一つめは生活習慣病がおもな原因の「アテローム血栓性脳梗塞」、二つめは老化が原因の「ラクナ脳梗塞」、三つめは不整脈が原因の「心原性脳梗塞」です。
どのタイプの脳梗塞も、生活習慣の改善や持病を治療することで、脳梗塞の発症を防げる可能性が高くなります。
「アテローム血栓性脳梗塞は生活習慣病と深い関係があります。特に動脈硬化につながる高血圧、糖尿病、脂質異常症がある人は要注意。脳の血管が詰まりやすいので、脳梗塞を引き起こす可能性が高いのです。また、心原性脳梗塞は、不整脈の一つである心房細動が原因です。健康診断で生活習慣病や不整脈を指摘されても『すぐに命にかかわらないから大丈夫』と放っておく人もいるでしょう。それが、脳梗塞の発症につながります。ラクナ脳梗塞は脳の老化現象といえますが、ストレス、喫煙や過度の飲酒などで進行を早める可能性があります」(森本先生)
脳梗塞3つのタイプ
アテローム血栓性脳梗塞
脳内の比較的太い血管が詰まって起こる脳梗塞です。
"アテローム"とは、粥状硬化という意味で、動脈硬化で起こる血管の状態のこと。
前触れ発作(TIA)が出やすい脳梗塞で、TIAがあった人のうち、約30%が5年以内に脳梗塞を起こすという報告もあります。
前触れに気付くことが発症の予防に。
【原因】
高血圧や脂質異常症、糖尿病など、動脈硬化の危険因子を多く持っている人に起こりやすいので、生活習慣の改善が急がれます。
ラクナ脳梗塞
脳内の細い血管が詰まって起こる、直径15mm以下の小さな脳梗塞のこと。
手足のしびれ程度の軽度の症状か無症状のため、気付かないこともよくあります。
小さな梗塞を繰り返すうちに脳の機能が低下し、物忘れなどの症状が少しずつ進行して認知症を引き起こすこともあります。
【原因】
年齢を重ねると血管の老化が進みます。さらに喫煙や大量の飲酒など、不摂生は血管の老化を早めるので、注意しましょう。
心原性脳梗塞
心臓から流れてきた血栓によって、脳の太い血管が詰まる脳梗塞です。
その血栓が大きいため脳の広い範囲にダメージを受けて重症になりやすいのが特徴。
心臓で血栓ができる理由は不整脈の一つである心房細動によるもの。
特に前触れはなく突然発作の症状が現れ、亡くなる危険性が非常に高く、後遺症も重いので要注意です。
【原因】
不整脈の一つである心房細動が関係しています。該当する人は心房細動を抑える薬や治療などの検討を。睡眠不足や高血圧もリスクが大きいので要注意。
脳梗塞予防7つのポイント
1.血圧に注意
高血圧は動脈硬化を進行させ、血流が悪くなることで血栓が詰まりやすくなり、脳梗塞のリスクに。脳卒中を起こしたことのある人は上が110〜130㎜Hg程度、ない人は140㎜Hg以下で安定させて。
2.LDLコレステロールと中性脂肪に気を付ける
LDL(悪玉)コレステロールが多く、HDL(善玉)コレステロールが少ないと動脈硬化が進みやすくなることが分かっています。中性脂肪の数値が高い人も同様です。家族に高コレステロールの人がいるなら要注意。
3.不整脈を放っておかない
健康診断で不整脈を指摘されたら、精密検査を受けましょう。動悸、息切れ、脈が飛ぶなどの自覚症状を感じた場合は、かかりつけ医に相談してみてください。
【心房細動で脳梗塞が起こるしくみ】
心房細動で心臓のあちこちに異常な電気信号が発生すると、血流が不規則になってよどみ、かたまりになります。これがある日突然、血液といっしょに脳血管に運ばれて脳梗塞になります。
4.水分補給をする
体内の水分量が足りなくなると血液がネバネバし、血管が詰まりやすくなります。夏場は特に注意が必要です。1日500ml〜1Lほどを目安に、喉が渇いたと感じる前に少しずつ飲みましょう。
5.バランスの良い食事を心がける
糖質・脂質の多い食事に偏りがちな人は、動脈硬化を引き起こしやすいので、野菜・魚を積極的に食べましょう。食べ過ぎにも注意して適正体重を保つと、血圧も安定し、脳梗塞のリスクを減らせます。
6.適度に運動をする
運動はコレステロールや脂質を減らし、血流を良くするのに効果的です。ジムに通ったりしなくても、エレベーターの代わりに階段を使ったり、移動は徒歩にするなどで運動不足は解消できます。
7.ストレスをため込まない
過度のストレスは血圧や脈拍を上昇させ、血管を傷つけて動脈硬化を招きます。疲れを感じたら深呼吸やストレッチをしましょう。副交感神経の働きが良くなり、血圧も降下します。
取材・文/石井信子 イラスト/ノグチユミコ
<教えてくれた人>
森本将史(もりもと・まさふみ)先生
IMSグループ横浜新都市脳神経外科病院院長。脳神経外科医。京都大学医学部卒業後、国立循環器病研究センター、ベルギーLeuven大学などで手術と研究の研鑽を積み現職。専門は脳卒中で、日本でも有数の実績がある施設長として、日々手術を行う。脳卒中予防にも尽力している。
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