欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

ずっとなくならない宝物

2013-02-05 | une nouvelle
女の子が夢のある言葉を口にしながら、庭に花の種を植えたのさ。
何の種だかわからないけど、公園のおじさんにもらったものをね。
毎日水をやっていたんだ。とってもやさしい背の高いおじさんと約束したように願い事を話しながらね。
すると、不思議なことが起こったんだよ。
かわいい芽がでて、どんどん大きくなっていった。
一週間もしないうちにかわいいつぼみをいくつかつけたんだ。
女の子はうれしくなってママに自慢げに見せたのさ。
するとママはこんな花はどこにでも売ってるわ。真っ赤なバラに似た花をつけるのよ、だって。
女の子はちょっと傷ついたけど、それでもおじさんの言う通り毎日願いごとを話しかけながら水をやっていたんだ。

ある日、ママと一緒にご飯を食べていると女の子の耳にとても美しい声が聞こえてきたんだ。
名前を呼ぶからその方をむいてみると、花の格好をしたお姫さまがこちらを見てるんだ。
あなたのは誰?
わたしはあなたが育ててくれたお花の精。あなたの気持ちで育った愛の花よ。
女の子はそれを聞いて大喜び。
でも、ママには見えないんだよ。
知らんぷりでご飯を食べてるから。
やったぁ。今日からまたひとり友達が増えたわ。
これからもよろしくってお姫さまもにっこり。

ママに見えないお花の妖精はどこに行くのも一緒。
ある時、街でスリにあったおばあちゃんがいたんだ。
助けて~。カバンを取られたの!
女の子はどうしていいのかわからなかったんだけど、とっさにお姫さまに頼んでみたんだ。
すると、花の精は風にのって泥棒の頭上へ。そして、手を振りかざしたんだ。
次の瞬間、泥棒は地面にバタン、ころり。頭にバケツが落ちてきたんだよ。
建物のバルコニーで花の手入れをしていたおじいさんが誤って落っことしたんだってさ。
カバンはふじおばあちゃんのもとへ。
女の子はお姫さまとまたまたにっこり。

そんなある日、お姫さまが女の子に言ったんだ。
もうすぐここを去らないといけないって。
女の子はとても悲しがって、別れたくないってお願いしたんだ。
でも、これは決まった事だからって。どうしようもないんだってお姫さまは言うんだ。
やがて、女の子が植えた花が枯れはじめていたんだ。
女の子も必死に手入れしたんだよ。でも、花にも命があることをあらためて教えられたんだ。
お別れの日、お姫さまが女の子にこう言い残したんだ。
わたしはいなくなるけど、不思議な出来事は今からもあるわって。
もっといっぱい素敵なことが待っているから、いつも笑顔で願う事を忘れないでねって。
女の子は涙ながらにこう言ったんだ。
種をもらって育てていくのがとても楽しかったわって。またかならず会えるから。不思議の魔法でまた会えるようにお願いしてみるからって。
おじさんが言ってたもの。お友達はずっとなくならない宝物だからねって。


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