欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

まだ名もない脚本

2013-02-05 | une nouvelle
あたたかい寝室。姫様をとりかこむように男女が悲しみのまなざしをベッドへとむけている。
レースのカーテンのむこうは漆黒の闇。そこに光るまなざしもまた美しい顔へとむけられているのです。
執事は言います。
ご主人様、夜も更けてまいりました。どうかお休みになられて下さい。
誰もが沈黙のまま、時間だけが過ぎていきます。
指輪だけはこの子につけてあげたいわ。
奥様はベッドから細い手を出して、その指にきらめくダイヤの指輪をつけたのです。
そう永遠の誓いであるはずの大切な愛の証を。


黒い魔法を解く鍵はどこにあると思う。
難しい問題だ。しかし、あの姫様をこのまま眠らせておくわけにはいくまい。
今夜は満月ではないな。
月明かりの不思議な力もここまでは届かずか・・。
バルコニーにとまり、窓のむこうを鋭く見つめる二羽のカラス。
あの魔女の心の闇もかなり深いものだな。
美しさをほしいままにしているわけじゃないのに・・。あまりにもピュアな気持ちがこのように悲劇を生んでしまうとは・・。
問題の解決は・・。森に行ってみるしかないな。
それまでに姫様の灯が消えなければいいが・・。
バルコニーを飛び立つ二羽のカラス。空を舞っているあいだも何度かお城を振り返るのです。




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