欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

虹色のパラソルに乗って

2012-02-08 | une nouvelle
うす墨の雲がお空を覆っていても、僕の気持ちはワクワク期待に胸はずませて。
虹色のパラソルを勢いよくひらけば、どこからともなくやってきた熱い風が僕をお空へ誘(いざな)ってくれる。
風に尋ねなくても、行き先はもう決まっていて。
三つ編みが決まらずにぼんやり窓からお空をみあげている、かわいいあの子のお家(うち)まで。

ビルより高いところから、いつも暮らす僕の街を見渡せば。
うれしいことも悲しいこともみんなお日さまが見守ってくれるのがわかる。
雲の切れ間から顔をのぞかせたお日さまに向かって。
"そのあたたかいまなざしはみんなの胸に届いているかな?"

白い渡り鳥がきて僕に説教するんだ。
"そんなに目立っちゃこの長い翼もきれいな色もあったものじゃない。
どこに行くのか知らないが、早く大地に戻っておくれよ。
このお空のステージは俺さまあってのものなんだから。"

虹色の傘はゆらりゆられてあの子の家へと。
僕が名前を呼ぶと、憂うつそうなあの子の顔がはっと明るむ。
"眉をひそめたお姫さま。どうしたらその顔に笑顔が戻ってまいりますか?"
彼女は髪をいじりながら、
"お日さまがわたしをしあわせにしてくれるの。このごわごわした髪もあたたかな光ですっきりよ。"

"じゃあ一緒にうたいましょう。
お日さまは明るいジョークが大好き。シャレのきいたおもしろいうたで雲の向こうのお日さまを呼びましょう。"
彼女とベランダで踊りはじめて。虹色の傘がそのあいだを行ったり来たり。
すると、ひょっこりこちらをうかがうお日さま。
かわいい彼女が僕にむかってウインクしてくれる。

"これで素敵な三つ編みができるのよ。きれいにおめかししてママとお出かけ。
ありがとね、楽しかったわ。街一番の百貨店にショッピング♪ ふふふ、男の子にはちょっとわからない世界ね。"
ほっぺにキスされて、うれしいやらさみしいやら。
傘をたたんで帰る僕のビミョーな姿を、お日さまがいつものにっこり笑顔で見つめてる。
"君にあたたかなまなざしは届いているかな?"


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