★4月29日、首相・岸田文雄は都内で開かれた第94回メーデー中央大会に9年ぶりに出席した。労働組合の連合は自民党と今や蜜月で、同会長・芳野友子はOBや現役から強い批判を受けている。連合はもう闘わない労働組合だ。首相は「今年の春闘は30年ぶりの賃上げ水準となっており、力強いうねりが生まれている。このうねりを地方へ、そして中小企業へ広げるべく全力を尽くす」とあいさつした。
★まさにその通りで、賃上げ水準にあるのは極めて一部の大企業だけ。連合の一部の賃上げを政府もメディアも労働界全体のように報じるが、9割近くが中小企業。それに含まれない労働力が働き方改革や雇用体系の変化で大きな割合を占める個人事業主、フリーランスだ。20年に政府が実施した実態調査で副業を含めてフリーランスは462万人いるといわれるが、フリーランス向けのクラウドソーシングサイトを運営する「ランサーズ」の調査ではフリーランスは、21年には1577万人にのぼるという。首相がメーデーに出席した前日、28日の参院本会議で組織に雇われず個人として働くフリーランスを保護する「フリーランス・事業者間取引適正化法」が可決・成立した。フリーランスは直接受ける仕事ながら、取引先とのトラブルを経験した割合が4割近いといい、トラブル発生後、交渉せずに受け入れたケースは2割あるという。
★新法は委託する企業が事前に仕事の内容や報酬額などを書面や電子データで示すことや60日以内の報酬支払いなどを義務づけ、立場の弱いフリーランスを保護する。今まで企業の言い値で受けるしかなかった人たちには朗報だが、一方でネットのフリーライターなどは、一本100円の原稿依頼が常態化し、既存のネット上にある記事からうまく抜粋しろなどいう要求が当たり前にあるという。連合の組合員が発注元だったりすると、もう労働者の代表は連合とは言えない時代でもある。(K)※敬称略
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