小池都知事“馬耳東風”…ネット討論会が映さなかった本性
小池百合子都知事は一瞥すらせず(C)日刊ゲンダイ
プロのテレビマンなら、“女帝”の表情を追うためにカメラをスイッチングしたに違いない。28日夜に開かれた都知事選7候補のネット討論会(主催・東京JC)は、最終盤に“事件”が起きた。司会者が参加候補に「2分以内」で発言を求めると、低調ムードを一変させるように、れいわ新選組公認の山本太郎、日本維新の会推薦の小野泰輔両候補が、現職候補の小池都知事を激しく批判したのだ。山本氏は、コロナの「災害救助法」認定に消極的な国に対し、小池都知事が強く働きかけなかった点を挙げ、こう訴えた。「どうして都がやらなかったんですか、小池さん。国に対して厳しく求めました? どうして都民の生活守ろうとしなかったんですか。国と本気で対峙したくなかったからじゃないですか。東京都のトップの当たり前の仕事をやらなかったことに凄く憤りを感じます」
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小野氏も「都政新報の今年1月の職員向けアンケートで、小池都政1期目の評価は46点。再選出馬賛成21%に対し、反対は42%だ。職員がいい仕事できる状況か」と指摘した。ネット配信の画面は質問者の山本氏と小野氏を映しっぱなしだったが、現場を取材した日刊ゲンダイ記者は小池都知事の「馬耳東風」状態を見逃さなかった。
■追求にもマスクで表情隠し視線は手元の資料へ
自分が批判されている最中に表情を見られるのがよほどイヤだったのか、ただ1人だけグレーのマスクを着けたまま。山本氏や小野氏の方には一切、視線を動かさず、じっと机上の資料に目を落としていたのだ。ネット配信では見られない「都合の悪い質問は聞く耳持たない」というずぶとい“女帝”の本性。こうした生の姿を有権者に判断させるためにも、プロの手によるテレビ討論が見たいのだ。28日の討論会には、立憲民主や共産などの支援を受ける宇都宮健児候補と、立花孝志代表らホリエモン新党の3候補も参加。オンライン選挙に専念する小池都知事との論争が期待されたが、本人は終始ダンマリ。候補者同士の質疑応答では自ら挙手することは一切なし。受けた質問は結局、ホリエモン新党2候補からの「医療崩壊が起きたらどうする」など2問のみ。小池都知事は手短に答えるだけで、せっかく同じ場所に集まった“直接対決”が実現したのに、討論は深まらずに終わった。
■正面から答えない「△オバサン」
27日の映像制作団体「Choose Life Project」主催のネット討論会でも、小池都知事の態度は目に余った。他の参加候補が皆、司会者の10個の質問に「〇」か「×」かで答えたのに、なぜか小池都知事だけ「△」と書かれたボードを用意。「同性パートナーシップ制度導入」「東京にカジノを誘致するか」「原発は重要なベースロード電源か」の3問にどっちつかずの「△」を掲示したのだ。この時もリモート討論会だったのに、小池都知事はずっとマスクを着用し、生の表情を見せなかった。「本来、現職なのですから、小池知事は他候補より多くの説明責任があるはず。それこそ、自らテレビ討論などを積極的に呼びかけ、議論を喚起すべきです。それをしないのは、学歴詐称疑惑や公約の未達成について追及されるのを恐れているからでしょう。この状況では、小池都政の4年間は検証がなされず、7月5日の投票日を迎えてしまう。勝利が見えたチームが最終盤でパスを回し、時間稼ぎしているような印象です。都民に対し非常に失礼な態度だと思います」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)正面から答えない「△オバサン」を許していいのか。主な候補が一堂に会する舞台を最初で最後にしてしまっていいのか。大手メディアも小池都知事を討論の場に引っ張り出すべきだ。(# ゚Д゚)
「同調圧力社会」誰が切り開く?/政界地獄耳
★前法相・河井克行夫妻の逮捕から広島政界の政治とカネの底なし沼が露呈した。面白いのは自民党が自民党の資金を使って自民党を買収したということだ。とある自民党地方議員は「票の取りまとめとカネの動きは切っても切り離せない。地方選挙が終われば、次の国政選挙用に当選祝いとか陣中見舞いとかの名目でカネが動くことがある。これは合法的なものもあれば、あやしい場合もある。選挙の互助システムともいえる。たぶん野党も労働組合が同じ役割をする場合があるのではないか」。
★自民党幹事長室の金庫からカネが動いたという報道も、簡単には説明できない。自民党ベテラン秘書が言う。「当然、公党としての整合性も必要だ。マスコミはすぐ官邸の機密費が流れたと言いだすが、そんな簡単なものではない。今は国対経由で党に流れる場合があるだろう。本当の構図は官邸の一部と党の幹事長、国対委員長経験者ぐらいしかわからない」。別の自民党関係者は「メディアは広島の地方議員や首長たちがカネをもらっていたことを今ごろ言いだしたというが、検察から、事情聴取されたことも一切口外しないようにと言われていた。夫妻が逮捕されて事件化して、初めて話すことができたという状況。メディアはその構造を知っていて『告白ドミノ』という。違和感がある」とする。
★政界関係者がこの違和感を解説する。「現実に地方議会や地方政治の中でカネが動くことはある。中央政界にもあるだろう。それを肯定するつもりはないが、同じ党内で自分だけ拒否する、断るというのは、頭の中では可能だが、全体の和を乱す方が悪とみなされる社会が日本中の社会にまん延している中でできるだろうか。首相にごちそうになって会食するのは筋が通らないと拒むメディアがいるだろうか。拒むべきというのは簡単だ。だが現実はそうもいかないだろう。その意味では記者クラブの枠の中にいながら政治に筋論だけで攻めることに違和感がある。それよりもこの同調圧力社会を切り開く展望を、メディアから手本を見せてほしい」。メディアの告白ドミノはまだか。(K)※敬称略